特に重要なのは、本人の意思を文書で残しておくことだ。遺品の始末や自分の望む葬儀、墓などを記すエンディングノートを作ろうとする人ならば、延命治療の希望について記す欄に意思表示をしておくことができる。
日本尊厳死協会は、「リビング・ウイル(終末期医療における事前指示書)」の作成を勧めている。
日本尊厳死協会に入会登録すると、リビング・ウイルが協会で保管され、会員証で意思表示ができる。ホームページには、「終末期の延命措置の拒否」「苦痛を和らげるための緩和医療の実施」「持続的植物状態での生命維持措置の取りやめ」の3項目の意思表示を柱としたリビング・ウイルの原本がある。
「日本尊厳死協会の原本を参考に、個人で自分なりのものを作っても構いません。ただしリビング・ウイルはあくまで私的な文書で法的拘束力はなく、患者の提示を医師が無視しても違法ではありません。それでも協会の会員へのアンケートでは、リビング・ウイルを医療者に提示した患者の9割が実際に意思を尊重してもらえました」(日本尊厳死協会の江藤真佐子・事務局次長)
より“公的”な意味合いを持つ文書として、「尊厳死宣言公正証書」を作成することもできる。
「公証役場に行けば、文書のひな型が用意してあります。公正証書を作成したい人は事前にアポイントを入れたうえで免許証やパスポートなどの身分証明書を持って公証役場を訪れて申請します。費用は1万5000円程度です」(日本公証人連合会の西潟英策・事務局長)