ライフ

柔軟剤のにおいに関するトラブル急増、健康被害も問題に

身近な日用品に含まれる有害物質(写真/アフロ)

 店頭で商品を選ぶ時、パッケージに書かれた謳い文句を見て購入を決める人は少なくない。だが、自分が選んだ商品にまさか有害な成分が含まれているとは夢にも思わないだろう。専門家が警告する、あなたの身の回りにある、知られざる日用品の真実──。

 食品ジャーナリストの郡司和夫さんが話す。

「昨今、問題になっているのが、『合成ムスク』という人工香料による健康被害です。種類、量ともに年々増え続け、世界中で広く使われていますが、さまざまな健康被害との関連が疑われています」

 合成ムスクとは、人工的に合成された香料の総称で、もともとジャコウジカの分泌物から作られていた香料「ムスク(ジャコウ)」を人工的に合成したもの。主に柔軟剤や芳香剤、脱臭剤などに使われている。

 柔軟剤の香りが苦手な人は多いが、実際、国民生活センターには柔軟剤のにおいに関する相談が少なくない。相談件数は、2008年度の14件から2012年度は65件と急増している。「柔軟仕上げ剤を使用して室内干ししたところ、においがきつく咳が出るようになった」「隣人の洗濯物のにおいがきつくて頭痛や吐き気があり、窓を開けられず換気扇も回せない」といった相談が寄せられている。

 ほかにこんな留意点もある。

「呼吸や皮膚から香料の分子が体内に入り、子供の喘息やアトピー、アレルギーを引き起こす遠因となっているのではないかとの指摘もあります。

 また、合成ムスクは体の中で分解されにくく、脂肪にたまりやすい。特に女性は、男性に比べて脂肪が多いため注意が必要です。

 実際、2005~2007年に行った熊本大学と佐賀大学の共同研究では、日本人の母乳や脂肪組織に合成ムスクが蓄積されていることが判明しています」(郡司さん)

 使用された合成ムスクは、生活排水から川、海へと流入し、新たな環境汚染物質としても問題視されている。

「世界的には、柔軟剤を使った衣類や芳香剤のたぐいは、徐々に公共の場では使わないようにする動きが広がっています。しかし、依然、日本では香り付き商品が販売されています」(郡司さん)

 製品表示には「香料」としか書かれていないため、合成ムスクを見分けるのは難しい。被害を避けるためには、必要以上に多量に使わないようにするか、無香料の商品を選ぶしかない。

※女性セブン2019年4月25日号

関連キーワード

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン