──狩猟型から農耕型の証券会社へという転換にも見えますが、具体的にはどのような取り組みを?
中田:たとえば昨年11月に100%出資会社として設立した「大和フード&アグリ」では、農業や食料に関わる事業に取り組んでいます。
当社の収益の柱となるには10年はかかるでしょう。ですが、日本の農業は改善して収益をあげていく余地が大きい。これまでは大半が小規模農家で、家族的経営スタイルから抜け出せていない。農業従事者はますます高齢化し、耕作放棄地が増えています。
その一方で、「高品質な日本の農産物、農業技術」は世界的にニーズが高い。このギャップを埋めることが大事になる。
──そこにどう関わっていくのですか?
中田:耕作放棄地や小規模農家を集約し、アグリテック(環境制御や農業ロボットなどの技術)を導入して生産性を高めていく。大和フード&アグリでは、農学博士などの専門家を役職員として招聘し、農業の専門家と証券会社としての取引や人脈を活かした新たな農業ビジネスの創造を行なっています。
たとえばベビーリーフに関していえば、アグリテック導入で生産効率が改善し年間の作付け回数を2桁パーセント改善している生産者などもいます。販売先を確保できればキャッシュフローが安定する。いずれはこのようなビジネスを証券化することも考えています。
──「本業だけでは厳しい」という考えでしょうか?
中田:決してそうではありません。ただし証券会社には「マーケット環境が悪化すれば収益が下がる」という宿命がある。市場動向に左右されないビジネスで補完する必要は強く感じています。