──2008年にはリーマン・ショックもありました。
中田:当時、私は経営企画部長でしたが、衝撃的な出来事でした。バブルが崩壊してからも、金融界はとかく目先の利益をひたすらに追いかける。そのために競争して1位になる。収益でトップになる。それを是とするビジネスモデルでしたし、私自身もそうでした。
しかしリーマン・ショックを境に“このままでは立ち行かなくなる”と皆が気づかされた。経済的利益を競い合うばかりでは、金融機関だけでなく、世界経済そのものが破綻しかねない。利益を刈り取るだけでなく、持続的に利益を生み続けるビジネスモデルを作ろうという考え方が世界的な潮流になってきました。
特に2015年に国連で「SDGs」(Sustainable Development Goals)が満場一致で採択されたことは、大きかった。SDGsとは環境や社会貢献に関する「持続可能な開発目標」という意味です。それを受けて、当社でもSDGsを経営戦略の根幹に据えました。
──近年、製造業ではSDGsを企業理念に掲げる会社が増えていますが、証券会社のビジネスとどう関係するのでしょう?
中田:日本国内だけ見ても、地方活性化、少子化対策、子供の貧困……いろいろな問題が山積みです。そうした中で勝ち残れるのは、社会的価値と経済的価値を両立した企業。そうした企業を育てていくことが、証券会社のビジネスに繋がると思いますし、当社も「新たな価値」を生み出せる証券会社となることが大切だと思います。
◆市場動向に左右されない