●改元詐欺
銀行員を名乗る人間から電話があり、「改元でキャッシュカードの変更が必要になった」と言い、自宅までやってきて、「キャッシュカードと暗証番号を交換する」として持ち去る。「改元で銀行のシステム変更が必要で、カードも交換になる」と言われると、「そういうこともあるのかな」と納得してしまう人がいるかもしれないが、実際にはありえない。
今年2月12日には、埼玉県上尾市の70代女性宅に、市役所職員を名乗る男から「医療費の還付金がある」と電話がかかってきて、そのあと、金融機関職員を名乗る男から「還付金を受け取るには、元号が変わるのでキャッシュカードを交換する必要がある」と電話があり、自宅に現れた金融機関職員を騙る男にカード2枚を渡し、86万円を引き出されてしまった。
還付金と元号の二段構えの詐欺である。キャッシュカードを奪い取る手口としては、宅配便が使われることもある。
今年1月には、横浜市青葉区の80代女性の家など9人の住宅に、全国銀行協会を装ったニセ書類が郵送される事件が起きている。「キャッシュカードを不正操作防止用カードに変更する」という名目で、キャッシュカードを指定の住所に宅配便で送るよう指示していたという。
●電子ギフト券詐欺
キャッシュカードではなく、電子ギフト券を金の受け取り手段に利用する手口もある。「有料アダルトサイトの料金が未納になっている」などといった典型的な架空請求詐欺だが、支払いに電子ギフト券(Amazonギフト券やiTunes ギフトカード、nanacoギフトカードなど)を使わせる。被害者に購入させたのち、電子ギフト券の番号を言わせるだけですむので、電話だけで完結する。
5年ほど前に、LINEのアカウント乗っ取り事件が頻発したが、このときも友人のふりをして「代わりに購入してくれ」と電子ギフト券を買わせて、番号を入手するという詐欺事件が多数起きた。詐欺に引っかかるのは、高齢者だけではないのだ。
今年2月には、石川県金沢市の20代の男性が、アダルトサイトの架空請求に引っかかり、160万円分の電子ギフト券の他、現金200万円を宅配便で指定場所に送ってしまい、計360万円の被害に遭っている。