国内

「北欧出羽守」の方々、フィンランドの極右躍進をどう思う?

ネットニュース編集者の中川淳一郎氏

「出羽守(でわのかみ)」とは、もともと江戸時代の「出羽国」(現在の秋田県、山形県)をおさめる長官のことを指す言葉だが、転じて何かにつけて他者を引き合いに出して「○○では~」などと語る人のことを、揶揄する意味を込めて使われている。SNSの普及によって、多くの「出羽守」が発生し、目にする機会も増えた。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、そんな出羽守の一分派「北欧出羽守」たちが、党派性に拘るあまりどのような態度をとるのかについて考えた。

 * * *
 AFP通信が、「フィンランド議会選、極右政党が躍進 1議席差で第2党に」という記事を配信したが、この行方は日本のいわゆる「人権派」の皆様にどう影響を与えるか。この記事に対し、弁護士の山口貴士氏がこうツイートした。

〈北欧出羽守の方々、ご健勝のこととお慶び申し上げます。所詮、制度というのは、法制度、歴史、伝統、国民性等の全体のバランスで成り立っているので、北欧の良く見える部分だけを切り取って輸入するという発想自体が間違いなのです。〉

「北欧出羽守」の意味は、「北欧では」と前置きをしたうえで、いかにフィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク(特にスウェーデン)の福祉が進んでおり、人種差別もなく、人権意識があるかを説明し「一方日本では……」と日本を叩く類の人々を意味する。

 山口氏は、「北欧出羽守」の方々が、果たしてこの記事に対してどのように北欧及びその国の人々の「民意」を擁護するかを問う形となった。だが、彼らは明確には答えられないだろう。基本的には、「とにかく日本を下げたい」ということしか考えられない人は、その論拠を揺るがす話題が出たらそっと目を閉じるのである。

 2011年のノルウェー連続テロ事件は、移民に反対するブレイビク受刑者が77人を殺害するという未曽有の悲劇となったが、これは「北欧」で起きた話なのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

筑波大学で学生生活を送る悠仁さま(時事通信フォト)
【悠仁さま通学の筑波大学で異変】トイレ大改修計画の真相 発注規模は「3500万円未満」…大学は「在籍とは関係ない」と回答
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
《佳子さま盗撮騒動その後》宮内庁は「現時点で対応は考えておりません」…打つ手なし状態、カレンダー発売にも見える佳子さまの“絶大な人気ぶり”
NEWSポストセブン
監禁暴行の被害女性はW不倫の相手と別れ話で揉めていた(写真提供/イメージマート)
《ベテラン刑事が振り返る仰天事件》幼い娘2人を放置し…不倫相手に溺れた末、DVから逃げて警察署へ駆け込んだ母親 子供を保護した警察官へ放った「私は母である前に女なんです」
NEWSポストセブン
空いている電車内で居眠りしていた様子を盗撮され、一方的に非難する字幕とともにSNS投稿された(写真提供/イメージマート)
《SNSへの勝手なさらし被害》障がい者の家族がいる女性が専用スペースに車を駐車したところ…「不正利用」と決めつけられ”言い合い”の動画が拡散
NEWSポストセブン
中国が台湾侵攻を決断したらロシアが呼応する可能性も(習近平主席/EPA=時事)
《EU国防委員らが警告》2027年はロシアと中国の同時侵攻が現実化する「最も危険な瞬間」、中国の台湾侵攻にロシアが呼応する可能性
NEWSポストセブン
2025年7月場所
名古屋場所「溜席の着物美人」がピンクワンピースで登場 「暑いですから…」「新会場はクーラーがよく効いている」 千秋楽は「ブルーの着物で観戦予定」と明かす
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
【衝撃の証拠写真】「DVを受けて体じゅうにアザ」「首に赤い締め跡」岡崎彩咲陽さんが白井秀征被告から受けていた“執拗な暴力”、「警察に殺されたも同然」と署名活動も《川崎・ストーカー殺人事件》
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《“ドバイ案件”疑惑のウクライナ美女》参加モデルがメディアに証言した“衝撃のパーティー内容”「頭皮を剥がされた」「パスポートを奪われ逃げ場がなく」
NEWSポストセブン
今はデジタルで描く漫画家も多くなった(イメージ)
《漫画家・三田紀房の告白》「カネが欲しい! だから僕は漫画を描いた」父親の借金1億円、来る日も来る日も借金を返すだけの地獄の先に掴んだもの
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
【伊東市・田久保市長が学歴詐称疑惑に “抗戦のかまえ” 】〈お遊びで卒業証書を作ってやった〉新たな告発を受け「除籍に関する事項を正式に調べる」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
《不動産投資会社レーサム元会長・注目の裁判始まる》違法薬物使用は「大きなストレスで…」と反省も女性に対する不同意性交致傷容疑は「やっていない」
NEWSポストセブン
女優・福田沙紀さんにデビューから現在のワークスタイルについてインタビュー
《いじめっ子役演じてブログに“私”を責める書き込み》女優・福田沙紀が明かしたトラウマ、誹謗中傷に強がった過去も「16歳の私は受け止められなかった」
NEWSポストセブン