鈴木:ビッグイベントの時には国際的な注目も集まるから、マスコミにも騒がれやすくなる。だから、目立たないようにしようというのがあるんですよね。大規模なイベントなら、ヤクザにとってもシノギのチャンスになるから、そちらに集中したいわけで。

溝口:スタジアムの建設や人材派遣は莫大な人手が必要だから、ヤクザの入り込む余地が生まれる。建設業界は被災地の復興に人が回せないというくらいですからね。

鈴木:俺が(自著)『ヤクザと原発』の取材で東日本大震災後に福島第一原発に潜入したときは五次請けで、中には八次請けなんて人もいましたよ。

溝口:八次請けじゃ、暴力団が入っていても元請けは分からないよね。

鈴木:原発(の廃炉関連事業)には暴力団関係者が相当入っていました。だから、五輪絡みの現場にも入り込んでいる可能性が高い。

溝口:あとはダフ屋。まあヤクザの仕事としてはたいしたものじゃないと思うんだけど、ネットを利用したりホームレスを使ったりして、あの手この手でチケットを買い占めるはず。なにせ高く売れるんだから。

鈴木:警察は当然、取り締まりを強化するはずだけど、本音を言えば警察だって、暴力団が産業の中に不可分に入り込んでいることはよく理解している。ただマスコミに騒がれるのが嫌なだけなんです。だからこそ、こうした文書を暴力団が出すのは、「警察を立てますよ」というアピールでもあると思う。

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