「人は人、自分は自分──高齢になったら余計にそう思わないといけません。なぜなら、『あの人に比べたら貯金が足りない』『あの人はずっと仕事をしたのに、自分は辞めざるを得なかった』『あの人の子供は一流大学に合格したのに、ウチの子は…』といった劣等感を持つと、自分を否定し、歩んできた人生を卑しめることになるから。
そうではなく、『あの人は素晴らしい人生を歩んだけれど、私も自分なりに頑張ってきた』と人生を肯定するべきです。本当はそうやって夫や子供など周りがほめてくれたら嬉しいけれど、言ってほしいと願っていると期待は裏切られますから(笑い)。
年齢を重ねたら、他人の目ではなく、自分の目で評価する姿勢も必要です」
周りの評価で一喜一憂する──それは私たちの周りや、10代や20代のアイドルの口から出ることもある、こんな言葉も根っこは同じだという。
「歳をとったら、かわいいおばあちゃんになりたい」
どういうことなのだろう。
「結局、かわいいというのも他人の評価。若い人から憎まれるのではなく、無視されるのではなく、愛されるおばあちゃんになりたいということだと思うのですが、ハッキリ言わせてもらえばちょっと気持ち悪いです。それよりも、前向きにチャレンジし続けることで、かわいげは自ずと生まれますし、尊敬もされます」
他者目線を意識して自分を否定せずに、自分自身のものさしで「今の私」を受け入れることから明るい後半生は開ける。そして今を受け入れることは、「過去の私」を受け入れることでもあるのだ。
※女性セブン2019年5月2日号