渋滞に関する研究では、「自分の前にスペースがあるときに前に進む確率」を考えてみる。そして、その確率が小さくなったときに、どれくらい交通量が低下するかを分析する。
ある渋滞を考えてみよう。左から右に進む、1車線のある区間のうち、半分がクルマで埋められていたとしよう。クルマの密度は0.5だ。
この区間の右端にきたクルマは、次の時点でかならず区間から出ていくものとする。そして、区間の右端からクルマが出ていったときにだけ、それを補うように、区間の左端から別のクルマが入ってきたものとする。つまり、区間内のクルマの台数は常に同じで、クルマの密度は0.5のまま変わらないものとする。
そして、たとえば1時間といった一定時間中に、この区間を通過するクルマの数、つまり交通量を計算してみる。
まず、全てのドライバーが前のクルマが動くと、かならず自分もすぐ動いてスペースを埋めていく場合、すなわち「自分の前にスペースがあるときに前に進む確率」(移動確率)が1 の場合、を考える。この場合の交通量を、100%とする。
つぎに、スペースが空いても前に進まないドライバーが出てきたとする。こうしたドライバーの出現により、移動確率が0.75に下がると、交通量は50%となる。移動確率と交通量が、同じ割合で下がるわけではないところがポイントだ。
さらに、移動確率が0.5まで下がると、交通量は29%となる。そして、移動確率が0.25まで下がると、交通量は13%となる(※注)。
【※注/移動確率がpのときの各時点間の交通量の計算式は {1-(1-p)の平方根}÷2】