阪急ブレーブスで活躍した山田久志氏(70)といえば、地面スレスレから打者の胸元に浮かび上がるような軌道のボールを繰り出す「サブマリン投法」の先駆者だ。山田氏以降もサブマリン投手は存在したが、長く球界で活躍した選手は限られる。そんな中、山田氏が「大きな可能性を秘めている」と期待を寄せるアンダースロー投手が、今季プロ初勝利を挙げた若鷹、ソフトバンク・高橋礼(23)だ。
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久々にアンダースローで力のあるボールを投げると感じたのが、ソフトバンクの高橋礼です。2年目を迎える今季は、3試合に先発してすでに3勝をあげ、勝ち頭になっています(4月17日時点)。
アンダーハンドは得てして、打者の打ち気をそらす軟投派と思われがちですが、彼は140km台のストレートもあり力で押せる。アンダースローはボールの軌道も独特ですから、バッターはさらに速く感じているはずです。
ソフトバンクの久保康生・二軍投手コーチに頼まれて2度ほどアドバイスしましたが、彼はアンダーハンドに必要な要素を備えていると感じました。それは、手首の使い方と、股関節の柔軟性です。
そもそもサブマリン投法は、肩への負担が少ない一方、肘や手首をしなやかに使わないと速いボールが投げられない。私も、高校2年生まで内野手でしたが、当時の監督から“肘の使い方が上手いからピッチャーをやってみろ”と言われてサイドスローに転向し、社会人時代にアンダーハンドになったんです。結果、プロでも284勝できました。
高橋も、肘や手首の使い方がうまい上に、柔らかさや強さも兼ね備えているから、速球につながっていると思います。