国内

更年期障害や子宮内膜症のための処方薬で注意すべきこと

60才以上の女性の「4人に1人以上」がコレステロールの薬をのんでいる

 医師の監督のもと服用するのが前提である処方薬だが、中には長期的に服用されることの悪影響を見過ごされたまま処方されるものもある。

◆コレステロールと高血圧

 閉経後の女性はコレステロール値が跳ね上がりやすい。都内の主婦、Aさん(52才)は健康診断後に薬をのみ始めた。こうした人は多いのだが、長尾クリニック院長の長尾和宏さんは安易な処方に警鐘を鳴らす。

「閉経によってコレステロール値が上がるのは、ごく自然なことです。エストロゲンという女性ホルモンがコレステロールの合成を抑えているのですが、閉経して女性ホルモンの分泌量が減ると抑えがなくなり、合成が増えます。したがって、心筋梗塞や脳梗塞などの持病がある人は別にして、単にコレステロール値が少し高いという理由で薬をのみ続けるのは考えものです。

 特にスタチンという薬には重篤な横紋筋融解症以外にも軽い筋肉痛などの副作用も確認されています。長期的、継続的に服用し続ければ、それだけ副作用のリスクも高まります」

 閉経後の女性にとってコレステロール値と並ぶ大きな悩みは高血圧だ。血圧を下げる降圧剤は、一度のみ始めるとやめられない薬の代表格でもある。東邦大学医療センター大橋病院婦人科所属の医師、高橋怜奈さんはこう言う。

「一度のみ始めると数値が下がり、医師の許可が出るまでのみ続ける必要が出てくる。更年期によるものなのか、本当に投薬治療が必要な高血圧なのかの見極めは難しい。医師としっかりコミュニケーションを取り、信頼できるか見極めたうえで医師の指示に従うべきでしょう」

◆更年期障害

 閉経後の体の変化はほかにもある。代表的なのは発汗や動悸、イライラなどに悩まされる「更年期障害」だ。

 しかし高橋さんは「薬での治療には慎重になった方がいい」と言う。

「更年期障害の投薬での治療はホルモン剤を使った『ホルモン補充療法』が一般的です。しかし、ホルモン補充療法は5年以上の施行で、わずかですが乳がんの発症リスクが高まるといわれている。また、子宮がんがあった場合、投薬することで悪化する可能性も。毎年必ず子宮がん検査や乳がん検査をしたうえで投薬を続けるべき」(高橋さん)

 運動や生活習慣改善による治療を考えた方がいいのかもしれない。

◆子宮内膜症

 子宮内膜症をはじめとして、生理痛の治療などにも用いられる「GnRHアゴニスト」と呼ばれる薬には、骨粗しょう症リスクの上昇や、性欲減退を引き起こす可能性があるという。薬剤師の宇多川久美子さんはこう言う。

「子宮内膜症は、それらの薬によって強制的に閉経した状態を作り出して治療を行うことがあります。症状自体は楽にはなるのですが、その代わりに女性ホルモンが抑えられるため骨密度が下がり、閉経後に骨粗しょう症が起こりやすくなります」

◆低容量ピル

 欧米では普及が進む低用量ピル。女性ホルモン成分を含み、服用することで排卵や受精卵の着床、子宮内に精子が侵入するのを阻止して妊娠を防ぐ仕組みだ。生理周期をコントロールし、生理痛を軽減する効果もある。

「重い生理に悩む人は高校生から服用するようですが、年を重ねてのみ続けると血管内で血が固まって詰まってしまう血栓症リスクがあることが報告されています。ふくらはぎが痛む、頭痛がするなどがその兆候です」(宇多川さん)

※女性セブン2019年5月9・16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
裁判所に移されたボニー(時事通信フォト)
《裁判所で不敵な笑みを浮かべて…》性的コンテンツ撮影の疑いで拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26)が“国外追放”寸前の状態に
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山上徹也被告が語った「安倍首相への思い」とは
「深く考えないようにしていた」山上徹也被告が「安倍元首相を支持」していた理由…法廷で語られた「政治スタンスと本音」【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
不同意性交と住居侵入の疑いでカンボジア国籍の土木作業員、パット・トラ容疑者(24)が逮捕された(写真はサンプルです)
《クローゼットに潜んで面識ない50代女性に…》不同意性交で逮捕されたカンボジア人の同僚が語る「7人で暮らしていたけど彼だけ彼女がいなかった」【東京・あきる野】
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン