ライフ

「スポーツゴミ拾い」に参加、3時間で“意識高い系”に変身

浜っ子、『浅間パワーシスターズ』と

 数々の体験取材を経験してきた『女性セブン』のアラ還名物記者“オバ記者“こと野原広子(62才)が、ゴミ拾いを競技化した『スポGOMI』に挑戦した。

 競技は3~5人のグループで参加。指定されたエリア内で60分間ゴミ拾いをし、拾ったゴミの種類によって定められたポイントを獲得。その合計ポイントによって順位を決める。

 そんな「スポGOMI」だが、参加することでまさかの意識改革が起きていた……オバ記者が振り返る。

 * * *
「繁華街はどっち? 酔客が投げ散らかしたゴミがいっぱいかも。あと、高架下には大物が転がっている気がする」

 各チームに1人ずつ監視員がついていて、ルールなどの相談に乗ってくれる。私たちのチームについたのは、学生アルバイトのKちゃん(21才)だ。

「繁華街はこっちですけど」

 スマホで『ココイル』というアプリを使い、他チームの動きを見ると、そこに固まっているように見える。

「マズい、もうジモティーがたどりついてますね」と年齢不詳の編集女子・マッちゃん。

「人の行かない裏道に花道アリだって。これ、株の売買の鉄則。人と同じことをしたらダメという教え」と、私が知ったかぶりをした直後のこと。

「あ、ここにこんなに!」とマッちゃんが植え込みを指さした。

「ひゃ~っ、こっちにも、ほら、見て、こんなに!」と私。

 コンビニの入り口の横って、かっこうのゴミ捨て場だったのね。食べ物を包装していたビニール袋とか、菓子のパッケージがあるわあるわ。

「たばこの吸い殻もけっこうありますね」とカメラマンのS女史も、地べたに目をこらす。

 思えば、そこが運命の別れ道だったのね。

 自転車置き場の前を通りかかると、自転車の下にもたばこの吸い殻が、2本、3本。自転車をどかして拾うのは手間がかかるけど、いったん視界に入った吸い殻を、どうしてそのままにできようか。

 時計を見るとすでに40分を過ぎている。あせる。再び『ココイル』を見ながら作戦会議。

「こっちには人がいないね」

「でもそこまで行く時間がないですよ」

 チームの足並みが崩れ出したその時よ。法被を着た“バラのマークのタカシマヤチーム”が、にこやかな顔で大きく膨らんだゴミ袋を手に現れたの。「あら、いい男じゃない。写真、写真」と、私。

 そうこうしていたら、「もう、帰った方がいいです」と監視員のKちゃん。未練を残しながら広場へ向かう途中、交差点でビニール傘を数本抱えているグループに遭遇した。

「傘なんか、あったっけ? けっこうな重さ、あるよね」

 わがチーム全員が、ビニール傘に熱い視線を向けていた。計量の列に並び、前のチームを見ると、たばこの吸い殻の量が私たちの倍。「頑張ったのにね」とマッちゃんの声も湿りがちだ。

 それでも結果発表を持つ間に、用意されていたおにぎりと豚汁をちゃっかりいただく。おいしいのなんの!

ゴミ拾いの楽しさに気づいたというオバ

 わがチームの結果は22チーム中、20位。本気で悔しい。

「吸い殻なんかほっとけばよかったのよ。道徳よりスポーツ。スポーツなら勝たないと」

 と言いつつも、ゴミ拾いがこんなに楽しいとは。そして翌日から道のゴミがまあ、目につくこと!

 あってはいけないものがそこにあるという感じで、気になって仕方がない。そればかりか、そ知らぬふりをしてサッとゴミを拾いあげるようになった自分が信じらない。

 わずか3時間の間に、私は“街のゴミ問題、意識高い系オバ”に変わっていた。

※女性セブン2019年5月23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン