ただ、そのあとの感じ方には若干の男女差があるようだ。文末、著者と末井昭氏の対談でふたりは「(対象となる女性に)無理やりというのはまったくなかった」「たぶん昭和のエロは愛があった」と意気投合しているが、それには「ホントかな?」と疑問を持つ。夜の風俗で働く女性たちの中には、高いプロ意識を持ちながらも暴力や蔑視で泣いた人もいるだろう。
いやいや、こういう読み方をすることじたい野暮であり、ここはただこのアヤシくも人間くさいこのウラ文化にあたたかい視線を送ればよいのかもしれない。そして世の女性たちには、夫が本書を買って家に持ち帰っても決して怒らないであげてほしい、ともお願いしたいのである。
※週刊ポスト2019年5月17・24日号