国内

不登校の小学生YouTuber炎上騒動 琉球新報の責任は重大だ

スマホで気軽に発信したことが後々大きな禍根を残すこともある

 誰もが発信者となれる時代になったことそれ自体に異存はないが、「炎上」が繰り返されることもまた事実だ。コラムニストのオバタカズユキ氏が考察した。

 * * *
 一人の子供が不登校をしているというだけの話に、わざわざ飛びつきなさんなよ。たとえ義務教育期間の小学生でも、本人がどうしても嫌だと言うのなら学校に行かなくても構わないだろうし、学校の外で学べることもたくさんあるもんだし。

 ……と私は一般論として思う。そう思う人々も大勢いるはずである。

 だが、実際は、10歳の不登校児に多くの日本人が連日苛立っている。その少年がユーチューブの動画に登場するたび、何千何万人もが低評価ボタンをクリック、コメント欄を荒らさずにはいられなくなる。私だってスルーできなくて、こうして彼を取り上げている。

 そして、あっという間に、彼は日本有数の有名小学生となった。ご存知ない方のために琉球新報の記事から引用すると、〈「俺が自由な世界をつくる」。自由を求めて学校に通わない選択をした中村逞珂(ゆたか)さん(10)=宜野湾市=が「少年革命家 ゆたぼん」と名乗り、ユーチューバーとして活動している。大阪生まれ、沖縄在住のゆたぼんは「ハイサイまいど!」で始まる楽しい動画を提供しつつ、いじめや不登校に悩む子や親に「不登校は不幸じゃない」と強いメッセージを発信している〉とのことである。

 革命だメッセージだとずいぶん勢いのある言葉が並ぶが、「少年革命家ゆたぼんチャンネル」と題する動画自体はなんていうことない。少年やその3人の妹たちなどが、たわいのない「~をやってみた」式のお遊びをしたり、歌をうたったりする程度の内容ばかりだ。

 琉球新報の記事には〈パワフルに熱唱する姿は、父親の幸也さん(39)の影響で好きになったブルーハーツをほうふつとさせる〉とあるが、これも幼さゆえにまだ音程コントロールも覚束ない児童が黄色い声を張り上げている程度。選曲がブルーハーツや長渕剛やフィンガー5のものなのは、親の影響というより親のリクエストだろう。歌詞の意味も分からないだろうに歌わされて痛々しい、と私は感じる。不登校をめぐる「メッセージ」も、カメラ横のカンペをつっかえながら読みあげているようで、やらされているな、むごいなという印象を抱く。

 なぜ不登校になったのか。琉球新報には〈ゆたぼんが学校に通わなくなったのは小学校3年生の時。宿題を拒否したところ、放課後や休み時間にさせられ不満を抱いた。担任の言うことを聞く同級生もロボットに見え「俺までロボットになってしまう」と、学校に通わないことを決意した。現在も「学校は行きたい時に行く」というスタイルを貫いている〉とある。

 対して、多くのネット民たちは、「ロボットはこの少年だ」と指摘している。本人のほうが父親にすべてを操作されているロボットで、これは一種の児童虐待だと批判する声もたくさんある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
NEWSポストセブン