テレ朝は一度終了させたものを再開させているが、対して王者・日本テレビはどうか。ここ3~4年、同局が打ち出してきたのは「リ・ブランディング」。類語として「テコ入れ」という言葉にも言い換えられるが、決してネガティブな意味ではなく、言葉通り、ブランドの再構築を図ろうとするものだ。
具体的には『世界まる見え!テレビ特捜部』や『ザ!鉄腕!DASH!!』や『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』など一時求心力の弱まった長寿番組の総合演出やスタッフを入れ替えている。こうすることで番組の魅力とウィークポイントを俯瞰して見ることができ、今一度見直し、離れた視聴者を取り戻し、新規も開拓するという手法である。実際に『まる見え』は一時期ひとケタにあえいでいた時期もあったが、現在は常時視聴率12~13%を獲得。『DASH』も「DASH島」の立ち上げで再び人気を盛り返した。
◇遠因は人手不足・ソフト不足?
もちろん視聴者に求められる限りは番組の「長寿化」は歓迎すべきことではあるが、逆に言えばそれに代わりうる決定打となる新番組のソフトがないとも言えるのではないか。先に挙げた「番組の復活」や「リ・ブランディング」という手法が広がっているのは、それを示す一例だ。さらにはテレビに携わる人員の減少、もしくは予算圧縮による意図的な削減によって、新しく番組を立ち上げるだけのマンパワーが実際問題ないこととも無関係ではないだろう
ひるがえってそれは、視聴する側の“変化”をも意味する。総務省情報通信政策研究所「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、2016年、10代の1日のテレビ視聴時間は89分でネット利用は130分。対して60代のテレビ視聴時間は259分でネット利用は46分。つまり10代と60代のテレビ視聴時間に3倍近い開きがあるのだ。
テレビが中高年世代だけに向けているものになっているのなら、番組の「長寿化」という栄誉は一転、「停滞」を意味する。テレビ黄金期の昭和から平成へ、そして令和と3世代をまたいだテレビ。業界全体の寿命も真剣に考えなければならない時期はすでに来ていると言えよう。(芸能ライター・飯山みつる)