「酸化した油は、体の中で活性酸素を作り出し、がんや動脈硬化を引き起こす原因となります。一度熱した油は、できれば廃棄した方がいい。繰り返し使うとしても、2回が限度でしょう」
揚げ物に使った油をオイルポットに移し替えている人は、そのまま放置するのはNG。食品工学が専門の東京農業大学教授・高橋信之はこうアドバイスする。
「常温で油がどろっとしていたら、かなり酸化が進んでいる証拠です。高温のまま放置すると酸化が急激に進むので、オイルポットに移したら、速やかに冷暗所で保存し、過度な使い回しは避けましょう」
油の成分によっても、温度に対する特性は異なる。望月さんは指摘する。
「飽和脂肪酸、オメガ9のオレイン酸、抗酸化物質であるビタミンEが多い油は熱に強い。
逆に、オメガ3とオメガ6は熱にとても弱く、非常に酸化しやすい」
◆キャノーラ油はどうか?
中でも、オメガ3が豊富なえごま油やアマニ油は酸化が早い。できるだけ空気に触れさせずに、冷蔵庫で保存する、光を当てないなど保存の工夫が必要だ。そして、1か月で使い切れるように、購入する時は、少量入りのものを選ぼう。
また近年、家庭で使う油の代表である菜種油(キャノーラ油)について、その毒性を訴える声もある。しかし、気にする必要はないと話すのは東邦大学名誉教授で平成横浜病院の循環器内科医、東丸貴信さんだ。
「菜種油には、動脈硬化を進める“エルカ酸”が含まれるといわれていて、アメリカでは禁止されていました。しかし、最近の品種改良種や新種から得られる菜種油やキャノーラ油にはエルカ酸が含まれていません。
むしろ飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸が比率的に多い。特に、オメガ9がたっぷり含まれているので、火を使った料理にも向いています」
遠藤さんも同意見だ。
「キャノーラ油はオレイン酸、リノール酸、リノレン酸がバランスよく含まれている点が評価できます。ただし、リノレン酸を加熱するとアクロレインという物質ができます。この物質は揮発しやすく、調理している人の目が痛くなったり、変なにおいがすることがあります」
※女性セブン2019年5月30日号