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5月は「空の巣症候群」発症時期、注意が必要な人の特徴

「空の巣症候群」注意が必要な人の特徴は?(イラスト/大窪史乃)

 5月の連休明けから6月にかけて、心療内科医で、ひめのともみクリニック院長の姫野友美さんのもとには患者が殺到する。中でも目立つのが、進学や就職などで子供が独立した母親からの悩み相談だ。

「3月と4月は子供の引っ越しなど、新生活の準備で慌ただしく、5月初旬もまた、連休に一度子供たちが帰ってくるのでバタバタします。だからさびしさも感じにくく、不調も起きにくいのですが、その後、体や心に異変が起きる母親が多い。これを、『空の巣症候群』(からのすしょうこうぐん)といいます」(姫野さん)

 主な症状としては、だるい、朝起きられない、何もする気がしない、食欲がない、夜眠れない、頭痛、肩こり、息苦しさなどで、どれも更年期障害の症状に似ていることから、空の巣症候群に陥っていることに気づきにくいという。

「それまで母親は夫と子供のため、家庭という名の“巣”を一生懸命作ってきました。ところが、進学、就職、結婚などで子供が巣から出て行きます。夫は夫で、子供が独立する頃は管理職になっていたりして仕事が忙しく、外で夕飯を済ませるなどして、家庭(妻)をおざなりにしがち。すると母親は、自分が一生懸命作ってきた巣の中でひとりぽつんと過ごす状況になってしまい、その喪失感が、体に不調をもたらすのです」(姫野さん)

 子供が独立する時期は母親の更年期とも重なる。女性ホルモンの乱れや鉄欠乏によって、立ちくらみや動悸、疲れやすさといった症状も出る。また、目標や生きがいを失ったことで表れる抑うつ感、これからどうなるのかという不安感、どうせ自分ひとりだけの食事なんだからなんでもいいやという無気力感などにさいなまれ、うつ病に発展する場合もある。

 ただでさえ、更年期で体や心が不安定でつらい時に、子供がいなくなるという大きな環境の変化が重なる。このWパンチに打ちのめされない母親の方が少ない。決して自分だけが弱い、などと思わなくてよいのだ。

◆子供が巣立った後のうつ症状に気をつけて

 空の巣症候群とは、子育てにすべての情熱を注いできた40~50代の母親が、子供が巣立った後、心が空っぽになり、何もやる気が起きない、生きている意味がわからない、眠れないなどのうつ症状に陥ること。その背景には、現代の家族関係の変化があると、総合診療医であゆみクリニック院長の宮沢あゆみさんは話す。

「産めよ育てよと、子供を労働力として期待していた昔とは異なり、核家族化、少子化が進んだ現代では、ひとりの女性が出産する子供の数が少なくなり、経済的にも余裕ができました。そのため、母親は子供に対して、たっぷりと時間やお金、愛情をかけられるようになったのです。それだけに、情熱を注ぐ対象がなくなった後の生活環境の変化に対応できず、心にぽっかり穴があいて、虚脱感に襲われるケースが多くみられるのです」(宮沢さん・以下同)

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