芸能

一般人の家を訪問する番組がブーム ウケる理由は「人情」

4月にスタートした『サンドのお風呂いただきます』(NHKのHPより)

 サンドウィッチマンの2人が一般人の家にお邪魔して、お風呂に入れさせてもらう――そんなNHKの番組が話題だ。こうした番組がウケる理由とは? コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 最近、テレビカメラが一般人の家に行く番組が目立つ。テレビ東京では、終電を逃がした人にタクシー代を出す代わりに深夜の自宅訪問をさせてもらう『家、ついて行ってイイですか?』や農地などを歩きながら出会った人にお願いする『昼めし旅~あなたのご飯見せてください~』もある。テレビ朝日の『ポツンと一軒家』だって、隣人が見当たらない一般人の家にお邪魔する番組だ。

 そんな中、驚いたのは、今春レギュラー番組になったNHK『サンドのお風呂いただきます』である。
 
 これは風呂文化にこだわる男、サンドウィッチマン伊達みきおが、「真のお風呂文化は各家庭のこだわりの風呂にある」という信念のもと相方の富澤たけしとともに日本各地の家庭風呂に入れてもらうというもの。アポなしではないとはいえ、まさか腰巻用の白バスタオル持参で人のうちの風呂に入る番組ができるとは。

 先日は、ゲストのずんの飯尾和樹とホンジャマカ石塚英彦とともに北海道へ。一軒目では、湯主(ここでは家主ではなく、湯主と呼ぶ)自慢の岩風呂に入った。湯主自ら、日高に巨大な岩を買い付けたというだけでもびっくりだが、タイマーで岩の上から滝のごとく真水が降り注ぐ仕掛けを自宅風呂に作っちゃう情熱もまたびっくり。これは何かに似ていると思ったら、放送30周年の実績を誇る一般人自宅訪問番組の大先輩『渡辺篤史の建もの探訪』(テレビ朝日系)であった。そして二軒目では、先代が苦労して開墾、今も生活水のすべてを「命の湧き水」で賄っているという九人家族を訪問。それを聞いた飯尾も「大事な水を…」と節水に注意しながらの入浴となった。

 この番組がすごいのは、『お風呂いただきます』と風呂を前面に出しながら、実際の入浴シーンはとっても短いこと。出演者の顔ぶれを見れば、長く入浴シーンを見せられても…という感じだが、他の回のゲストも秋山竜次、TKO、スピードワゴンなど、ある意味統一感のある顔ぶれが厳選されているのが面白い。(ちなみにレギュラー番組になる前には五月みどり、八代亜紀もゲストになっている。この人選にも奥深いものが…)

 しかし、入浴シーンが短いのは当然なのである。この番組のメインは、風呂きっかけで聴く湯主一家の人情話なのだ。

 一軒目では入浴後、貧しさや勤め先の倒産などを乗り越えた湯主の話を、しみじみ聞いた。二軒目では、いつも次の人のために貴重なお湯を適温にしておく思いやりが受け継がれているという話も出た。

 思い出してみれば、巨大なしゃもじを持ったヨネスケが突然、家に来て晩ごはんを試食して回るという日テレの『突撃!隣の晩ごはん』は昭和から平成にかけて実に6000軒もの家に行ったという。制作費もそこそこでおまけにネタは無尽蔵。コスパがいい上に「人情」という最強カードを使える一般人番組は強い。顔の見えないつきあいが当たり前になった今、その強さが見直されている。まだまだ増えそうだ。

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン