国内

運転を止められない高齢ドライバーの「ポジティビティ効果」

任意の事情聴取を終え、警視庁目白署を出る飯塚幸三元院長(共同通信社)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、社会問題になっている高齢ドライバーを分析。

 * * *
 高齢ドライバーによる事故のニュースを見る度に、憤りを覚える。数年前、友人を80代の高齢ドライバーが引き起こした交通事故で失った。事故の原因は高齢ドライバーの不注意。彼女は結婚したばかりで、これから幸せになるはずだった。なのになぜ!? そう思うとどこに怒りをぶつけていいのかわからなかった。

 だから、両手で杖をつき、よろよろとおぼつかない足取りで警視庁目白署から出てきた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長の姿に愕然とした。アクセルを踏み続け、制限速度を越えるスピードで車が交差点を走り抜けた結果、母子2人が死亡し、8人が重軽傷を負った池袋の暴走事故。これで運転するなど危険すぎるとわかりそうなものだが、本人の意識は違っていた。「座れば足がふらつくことはなく、運転に影響はなかった」と話していたというのだから恐ろしい。運転には自信を持っていたのだろう。

 高齢ドライバーには、運転に自信を持っている人が多いという驚きの結果がある。NEXCO東日本が今年2月、高齢ドライバーを対象に実施した意識調査では、75歳以上の高齢ドライバーの実に8割近くが、運転に自信があると答えたというのだ。

 傍から見れば自信過剰としか思えない結果だが、高齢者には危ないという自覚がない。過去の経験が影響しているからだ。元院長も、事故前には87歳でありながら新車の購入を検討していたという。運転歴の長さや日常的な運転経験、無事故などが彼らの自信の土台になる。自分は運転が上手いと主観的に判断し、まだ大丈夫と思い込む。ここが高齢ドライバーの大きな問題である。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
女性アイドルグループ・道玄坂69
女性アイドルグループ「道玄坂69」がメンバーの性被害を告発 “薬物のようなものを使用”加害者とされる有名ナンパ師が反論
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン