事故物件芸人・松原タニシが実際に内見した事故物件
◆呪い殺される心配はない……ハズ
──事故物件に住む際に注意点はありますか?
タニシ:事故物件は家賃相場が下がるので、周囲の治安が悪くなるという説もあります。収入の低い住人が増えるので、風紀の乱れた人が入りやすくなるのではないかと懸念する人もいます。治安の良し悪しは女性にとっては特に重要なことだと思うので、その点は現実的な問題として、注意したほうがいいかもしれません。
【ちなみに、このインタビューが行われた場所も、都内にあるタニシ氏の自宅。すなわち、事故物件である】
──ここの家賃はいくらですか?
タニシ:雑居ビルの4階にある独身者向けの1Kですが、家賃は6万円です。もともとは8万円の物件だったので、「心理的瑕疵」のおかげで25%オフですね。不動産屋の話によると、ここでは50代男性が首吊り自殺をして、命を落としたそうです。
──住んでいて、普通の物件との違いは何か感じますか?
タニシ:窓が真っ赤に塗られていて、キッチンは黄色、換気扇は青という具合に、室内がやたらとカラフルに塗り直されているのが気になります。白やベージュなどでは隠しきれないような何かがあったのかもしません。
部屋を支えている構造物の一部が歪んでいるのも、なんでかなと思います。柱も塗り直されてますし、壁や天井には擦ったような跡もありますね。
あと、内見に来た際には不動産屋さんが「念のため、こちらをお使いください」と言って大量の塩を持ってきました。そんな物件勧めるなよ、という気もしましたが、僕にとっては理想的な物件でしたね。
──怪奇現象はありましたか?
タニシ:この物件、今は「三日月マンハッタン」というコンビの仲嶺巧っていう後輩とルームシェアしているんです。僕は基本的には大阪に住んでいるので、東京に来たときだけ、帰ってきてるんですよね。
で、この前仲嶺が「タニシさん、今週は5回帰ってきてましたよね。寝ていると夜中にドアを開け閉めする音がしたので、タニシさんが帰ってきてるんだなあと思っていました」って言ってきたんですが、その週は2回しか帰ってきてないんですよ。残りの3回の出入りは、絶対に僕ではありません。
──怪奇現象が起きる覚悟も必要だと思うのですが、霊に呪われるなんてことはないんでしょうか?
タニシ:どうでしょうね。僕は6年間、これだけたくさんの事故物件に住んできましたが、見ての通り元気にしています。まあ死ぬようなことはないでしょう。僕はまだ死んでないから、大丈夫!「男なら住めよ」って思います。
【PROFILE】松原タニシ(まつばら・たにし)/1982年4月28日、兵庫県生まれ。松竹芸能所属。”事故物件住みます芸人”を名乗り、さまざまな物件を渡り住んでいる。昨年、初の著書である『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房)を発売。現在、『やわらかスピリッツ』にて『ゼロから始める事故物件生活』(作・奥香織、小学館)の原案を担当。今年3月には第1集が発売された。
■取材構成・西谷格