「大原則ですが、保存中に傷みにくいことが重要です。生ものや生野菜はもちろんNG。野菜はしっかり加熱するか、浅漬け、酢漬け・ピクルス、ポン酢しょうゆ漬けなどにするとよいでしょう。
酢や赤唐辛子、酒に浸してから刻んだ昆布などを加えると日持ちがよくなり、うまみがプラスされます。また保存の際、できるだけ空気を遮断すること。保存容器に入れた料理に密着させるようにラップを張ってから蓋をすると、乾燥を防ぎ味が落ちません。汁に浸して保存する料理は、この方法を使うと少ない汁でもしっとりおいしい状態が保てます。容器も、1~2回で食べ切れる量が入り、中身が外からわかりやすい容器なら、何度も開閉せずに済み、傷みも防ぐのでおすすめです」
いずれも調理後、中まで完全に冷めるのを待って保存するのがポイント。容器にレンジ加熱の目安時間を書いておくのもアイディアだ。山梨にある今泉さんの実家では、父親と妹家族が同居しているが、仕事や生活サイクルの違いもあり、父親がひとりで食事をすることも多い。
週末に今泉さんが帰郷して料理を作り置きし、妹は肉を焼いたり、新鮮な刺身を用意したり。大学生の姪も配膳を手伝う。みんなで少しずつ協力し、父親の食事をサポートしているという。
「栄養士として全体のコントロールはしていますが、82才になった父を見ていると、あらためて“食べることは生きること”だと感じます。今は制限や管理より、好きなものを自由に食べられる工夫に力を注ぎたい。たとえば買ってきたおいしい総菜の塩分が多すぎれば、豆腐を加えて白和えにしたり、卵焼きにしたり。“食べちゃダメ”とは絶対に言いません(笑い)」
それでも父親は確実に日々老いていき、「前回はおいしく食べてくれたのに今回は残した」ということが、どんどん増えてくるとも言う今泉さん。料理で親を支える若い子供世代にも、心得ておくべきことがあるのだ。
「子供って、つい元気だった時の親を基準にして衰えを過剰に心配したり、がっかりしたりしがちです。でもこれはある意味、自然の流れです。作り置き料理も、あまりがんばって量や種類を作りすぎると、親も自分もお互いに負担になることがあります。
今、私は父に7種類作っていますが、ここは各家庭での考えどころ。親御さんの今の状態とよく向き合い、どんな料理でどのくらいの量がよいか、ぜひ考えてください」
※女性セブン2019年6月27日号