東京23区水没危険地点
「そこで浸水深1mを超えると予想された地点が23区内に11か所あります。水の流れる速度にもよりますが、人命に関わる被害が生じるかは、浸水深が腰高80cmを超えるかどうかがポイント。そこを超えると人は踏ん張ることができなくなり、流されたり溺れたりするリスクが高まります」(関根氏)
当然、外部からの救助も難しくなる。まさに“陸の孤島”である。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏はこう分析する。
「2時間半で浸水深が1mを超えるとなると、雨が降り始めてからものの1時間ほどで膝まで浸かる計算になる。雨宿りしようと建物に入ると、気がつけばドアが開かなくなり、閉じ込められるといった事態にもなりかねません」
とくに地図上で目につくのは、都心のオフィス街、繁華街だ。
「ピンポイントでリスクが高いのは、目に見えて窪地になっている『谷状の凹部地形の地点』です。
『溜池交差点』『渋谷駅周辺』『日比谷交差点』などは周辺に降った雨が流れ下って集まるため、浸水被害が深刻化しやすい。四ツ谷駅周辺や光が丘駅前など、目に見えるほどではなくても、周囲より標高が低い地点も危険です」(関根氏)
実は都内の地形は起伏に富んでおり、場所によって浸水リスクは大きく異なる。『首都水没』の著書がある土屋信行・江戸川区元土木部長はこう指摘する。