「地名からも分かる通り、23区内は谷や川を埋め立てた場所が住宅地や主要駅になっています。

 たとえば溜池は江戸時代に庶民の飲み水を確保するために谷を堰き止めて人工の池を作った場所だった。渋谷も、いくつもの川が合流する渓谷でした。川筋を埋め立てた場所は平坦に見えたとしても、周囲から雨水が流れ込みやすい。豪雨が降れば雨水は旧川筋を通り、その地域は浸水しやすくなるのです」

◆有楽町と丸の内が水没

 その他、繁華街周辺でリスクが高いのは「道路が鉄道の下をくぐるように延びている地点」だ。

「この地点も周囲の雨が下に流れ込んでくるため、深刻な浸水被害を引き起こす可能性がある。渋谷駅近くの首都高速の高架をくぐる国道246号線や、新宿駅の新宿大ガード辺りが典型的な危険地点です。この場所を車で通行中、ゲリラ豪雨に伴う雷が収まるまで待とうとか、少し様子を見ようと停まっているうちに水かさが増し、気付いたらドアが開かなくなって閉じ込められてしまう危険性があります」(関根氏)

 さらに、繁華街などの浸水危険エリア周辺で特に注意が必要なのが「地下空間(地下街)がある場所」だ。

 地下空間が広ければ広いほど、豪雨で下水処理できなかった大量の雨水が集中してそこに流入し、勢いがつけば地下道が「水道管」に成り代わってしまう。

「東京駅の地下街もかつては1か所で完結していましたが、現在は利便性を高めるために有楽町や丸の内の地下街と連結して広域でつながっている。東京駅が水没したら有楽町と丸の内の地下も水没するということ。所々に防水扉を設置してはいますが、機能するかはその時にならないとわかりません」(ジャーナリスト・渡辺氏)

※週刊ポスト2019年6月28日号

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