芸能

四角顔の役者、なぜウケるか?佐藤二朗の顔から考察した

抜群の演技力を誇る佐藤二朗

 今、ウケる顔は「小さい顔」ばかりではないようだ。注目は「四角顔」だという。その理由についてコラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 世の中、ずっと「小顔」ブーム。ドラマでもモデルや美形オーディション出身の若手俳優が増えるにつれ、「八頭身」は珍しくなくなり、「九頭身美人」も登場している。

 しかし!よく見れば、その流れに待ったをかけた(とは本人は思ってないと思うけど)「四角顔」の勢いも感じるのである。

 その筆頭が、佐藤二朗だ。くせ者の脇役として多彩な映画、ドラマに出演を重ねた佐藤の存在感が一段と輝いたのは『勇者ヨシヒコ』シリーズの仏役だ。燦然と後光を浴びながら、天上から出ては「仏もね、ホトホト困ってるんだよ」などとテキトーなことを言ってる仏様。例のぽつぽつヘア(螺髪=らほつ)をパカッと被って画面上部を占めた二朗の顔は、でかい!!そして四角い!! これがもしも今どきの小顔仏だったら、こんなに面白くなかっただろう。仏像のごとくどっしりと大きい四角顔ならではのインパクト。それが大事。

 その仏パワー(かどうかは不明)で、いまや二朗は、フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』堂々の司会者である。ここでも「立ち上がれ25人の壁!」などと声を上げ、出場者、来場者を鼓舞する二朗。ひらひらした小顔細め男子ではとてもできない司会ぶりを見せている。

 そして、今シーズンもうひとりの「四角顔」といえば、BSプレミアム『大富豪同心』の中村隼人である。歌舞伎舞台では『ワンピース』『NARUTO』など、斬新な作品にも次々出演。写真集も発売された若手の注目俳優である。その隼人ドラマ初主演作がこのドラマなのだ。

 隼人演じる卯之吉は江戸一番の大富豪・両替屋三国屋徳右衛門(竜雷太)の孫。同心の身分もお金で買ってもらったじいじからのプレゼントというのんきな若旦那なのである。超高価な刀の盗難事件では「同じ刀がもう一本あるといいね」と即調達、

 殺人事件の捜査のために事件現場の吉原の店をポケットマネーで「ひと月貸し切りにしたよ」なんてことを平然と言ってのける卯之助。医師の稽古もしたことがあり、血のにおいから被害者の持病を推察したり、溺死でないことを調べ上げたりと「科捜研」みたいなこともしてのける。なかなかできるやつかと思ったら、そこは温室育ちの若旦那。走ればすぐに「待っておくれ」と息切れ、「お化けが怖いんだよ」と暗闇でもおどおど。いざ、大捕物になると、敵の刃が怖くて、なんと立ったまま気絶してしまう。おいおい。

 ポイントは、この気絶顔。立ったままフリーズした卯之吉の顔を見た襲撃犯は「あまりにスキがあり過ぎて打ち込めない」と、戦わずして敗けを認め、目撃者も「さすが、強敵を前にしても一歩も退かない!!」などと驚き、なぜか最強の剣豪同心として評判になってしまうのだ。

 隼人はくっきりした四角顔。細めのちょんまげで余計にくっきり表情が見えるところも重要だ。実は「くっきり表情が見える」のは、時代劇主役には欠かせない要素なのである。悪に怒り、弱者には優しさを見せる。この表情がくっきり出てなきゃ。

 久しぶりに出てきたインパクト抜群の四角フェイス。こじんまりしがちなテレビをもっともっと盛り上げてほしい。

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
世界的な人気を誇るシンガー・d4vd(20)(Instagramより)
「行方不明の10代少女のバラバラ遺体が袋詰めに」世界的人気歌手・d4vdが所有する高級車のトランクに遺棄《お揃いのタトゥー「 Shhh…」で発覚した2人の共通点》
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン
神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
ラーメン店の厨房は暑い(イメージ)
《「汗を落とすな」「清潔感がない」》猛暑で増えた「汗クレーム」 熱湯で麺を茹で上げるラーメン店やエアコンが使えないエアコン取り付け工事にも
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン