内館牧子氏と坂東眞理子氏(撮影/藤岡雅樹)
内館:『終わった人』では最後に主人公が故郷の盛岡へ帰って、被災地から岩手に避難している人たちを支援するNPOを手伝うことにするんです。これは私の友人がしている仕事を参考にしていて、働けるシステムを自ら作り出したんです。
坂東:それはいいですね。誰かがお膳立てをしてくれるだろうという考えは捨てて、自分にできることは何だろうと考えてアクションを起こすことは素晴らしいです。一方で、人生100年時代を考えると、長い老後に仕事と同じくらい生き甲斐を感じられることを探す必要もあると思います。老後の時間を持て余しているというかたがいたら、内館さんのように大学で学ぶというのは“終わった人”にならないための1つのアイディアだと思います。
内館:大学で学ぶことはすごくお勧めです。勉強して試験に通れば達成感もありますし、私は57、58の時には今度は神道を学ぼうと國學院大學の科目履修生になったんです。大学や大学院と考えるとハードルが高くなるけれど、1年間の科目履修生ならば気軽に挑戦しやすくなる。坂東さんが理事長を務める昭和女子大学も、科目履修生を受け入れていらっしゃいますよね。
坂東:もちろんです。日常の世界と離れた“アナザーワールド”を持つことは、70代にも絶対に必要なことだと思います。未知のことに興味を持って自分のために学ぶことで新しいものが見えてきて、出会いが生まれて、これからの人生も面白くなっていきますよ。大切なのはまず一歩踏み出すこと。その場として、大学はとってもいいですよ。
※女性セブン2019年6月6日号