羽ばたく小林幸子
もちろん、「やりすぎじゃないか」との批判もありました。でも紅白はお祭り。お祭りだったら楽しませてなんぼ、目立ってなんぼ。ありがたいことに視聴者やファンの方々からの評判は上々で、舞台裏は大変でしたけど、続けていくモチベーションになりました。
こうなってくると、「他人と比較する」という意識はもうありません。ライバルは、前の年の自分。前年の自分の衣裳をどう超えるか。プロジェクトチームを立ち上げ、デザイナーやスタッフと共に、ああでもない、こうでもないと知恵を絞りました。
◆過去の自分をライバルにする
人には許容量があります。分相応という言葉もあります。その範囲内で行動していれば、失敗も少ないのかもしれませんが、それだと毎日が同じことの繰り返しになってしまいます。それは効率的ではありますが、日々のワクワク感は減っていきます。
たとえば自分のことを「不器用」だと思っていたとしましょう。もちろん不器用でいいんですよ。でも「私は不器用だ」と思い込むことで、自分の行動力を制限したり、セーブしてしまったりしているとしたらどうでしょう?
人には自分でも気づかない力──潜在能力があります。もしかしたら、「自分は不器用」と思い込んで殻に閉じこもることで、持っている能力を発揮できず、人生の楽しさを損しているかもしれません。
それよりも自分は「あんなことができるかもしれない」「こんな一面があるかもしれない」と、日々いろいろなことに挑戦していくと、いつの間にか「自分の範囲」(許容量)が広がっていることに気づきます。