JR東日本の新型新幹線「ALFA-X」の10号車(時事通信フォト)
最高時速400キロメートルというALFA-Xの驚異的なスピードは、北海道・東北でシェア争いをしている飛行機を意識したものだろう。そのスピードにも驚かされるが、それ以上にALFA-Xが注目を集めているのは、斬新な車両デザインという点にある。
ALFA-Xは、先頭車両の鼻部分が細長く伸びている。東京駅側の1号車は、約16メートル。新青森駅側の10号車は約22メートルのロングノーズ。鉄道車両の常識を打ち破るデザインと言っていい。この見た目だけでも、多くの乗客は度肝を抜かれるだろう。
一方、JR東海の東海道新幹線は700系からN700、N700A、そしてN700Sと進化を遂げた。これらは700系のデザインを踏襲している。そのため、細かなデザイン変更はあるものの、外見的な部分で大きな違いを感じにくい。鉄道ファンでなければ、すべて同じ車両に見えてしまうだろう。
しかも、東海道新幹線の車体カラーリングは白を基調にして、ラインカラーが青という配色パターンを頑なに貫いている。
JR東日本の新幹線は、デザインもカラーリングもバリエーションが豊富だ。鉄道に詳しくない一般乗客でも、一目でわかるレベルで車両デザインやカラーリングが違う。
だが、車両バリエーションが増えることは、JR東日本にとって製造費や運用面での効率が悪くなる。それにも関わらず、なぜJR東日本は新幹線のデザイン・カラーリングのバリエーションを統一しないのか?
「JR東日本は、新幹線を東北・上越・山形・秋田・北陸の五方面で運行しています。それぞれの地域によって求められる性能や役割が違うため、車両の形状がそれぞれ異なっています」(同)
降雪の多い地域、山岳地帯のためトンネルが多い区間といった気象・地理的条件、また需要によっても車両のデザインは変化する。