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2019.06.25 16:00  NEWSポストセブン

マイ箸で特製つまみに舌鼓。鶴見のタワービルにある老舗角打ち

常連客は広い店内で、悠々と酒を楽しんでいる

 京浜急行花月園前駅を降りて徒歩1分、平成13年に建ったタワービルの1階に店を構える『本多政晴商店』で、いかにもの角打ちオーラを漂わせる常連客が語る。

「昔はね、駅の反対側に“お山”と呼ばれていた花月園競輪場があったんだよ。開催の日は、競輪場からこの店まで客がいつも行列していたもんだ。そりゃあすごい活気だったけど落ち着けなかったな。平成22年に競輪は廃止されたんだが、それからはゆっくり飲めるわし好みの店になったんだ」(80代、愛称・長老)

 現在、体調を崩し療養中のご主人に代わって店を守る2代目夫人の本多久仁子さんが、笑顔で相槌を打つ。

「そうね。当時と比べたら、静かな店になったよね。雰囲気という意味じゃ、このビルに移って来るまでは木造の建物だったから昭和の味っていうのがあったって言うお客さんもいますね。まあ、昭和47年創業ですから。ここに来て明るくて綺麗にはなったけど、以前のような懐かしい味は確かになくなっちゃった気がするの。そこにうちの主人じゃなくて75歳のこんなおばあさんが相手じゃ、お客さんに申し訳ないと思ってるのよ」

 これを聞いてカウンターに居並ぶ角打ち雀たちが、さえずりだす。

「こういう店はねえ、ママぐらいの年齢も気持ちも練れた人が中にいるから落ち着いて飲んでいられるんじゃないですか。作業着のまま来ても平気だし、“ママと喋りながら飲む酒のうまさよ”なのよね。これが角打ちですよ、これがこの店の良さなんですよ」(40代、土木系)

「昭和の時代当時の店は残念ながら知りません。でも、ここ、60坪あるって聞きましたよ。角打ちの店って狭いものと勝手にイメージしていたけど、こんなに広いのかい、贅沢だよなあって思いながら、のんびりゆったりとした気分で飲めるのが最高の特徴でしょ。それにママって、頼めばうまいものをいろいろ作ってくれるんですよ。さっきも誰かが特製焼きそばを頼んで、うまそうだったなあ。みんな甘えちゃって、ママというより母さんだよね。こんな角打ちの老舗の客になれたことの幸せも同時に味わってますよ」(60代、運送業)

 調理場を囲むようにコの字型のカウンターがあり、その右側にもう1本カウンターが延びている。常連の中でも長老格になる男たちが好んで飲む場所なのだという。そのうちの一人が、周囲を制して、口を開く。

「私を含めて常連には特権がありましてね。ほら、この箸を見てください、みんな違う模様と形でしょ。マイ箸ってやつですよ。私たちがカウンター前で自分の立ち位置を決めますよね。そうするとママがそれぞれに用意してくれているこれをサッと出してくれる。角打ちの店で自分だけの箸があるなんてうらやましいと思いませんか。新顔のお客さん?大歓迎ですが、失礼ながらそりゃあまずは、割り箸でしょう。マイ箸が用意されるようになって、やっとママに常連と認められたってことになるわけですよ。別に偉そうに言うわけじゃありませんけど、私らの仲間にもなったってことです」(40代、造船業)

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