ジャニーズ事務所が所有する主な不動産
すでに滝沢氏は約300人のジャニーズジュニアを統括するリーダーとして、日々活動している。かたやジャニー氏の個人資産については、これまで表に出ることのなかった“家長”としての側面が垣間見える。
都心の一等地に建つマンションの一室。そこは、ジャニー氏がかつて自宅としていた場所である。今年4月、思い出深いこのマンションの所有者が、ジャニー氏から別の人物に変わった。贈与した相手は姪であるジュリー氏の娘だった。150平米近いこの部屋はいまも1億円近い資産価値を持つ。
喜多川家(藤島家)をトップに頂く業界随一の芸能事務所--経営分析的にジャニーズ事務所を表わすなら、「個人商店のガリバー企業」だ。そうした企業は時として、事業継承時に大きな懸案を抱えがちである。
企業として得た利益と、経営者の個人資産の境目が付きにくいうえ、それぞれが巨額となる。「会社の資産」か「経営者一族の財産」かを巡ってトラブルが起き、お家騒動を招いたファミリー企業は少なくない。
高齢となったジャニー氏が、企業(ジャニーズ事務所)をジュリー氏や滝沢氏ら次世代の経営幹部に委ねるのと並行して、個人資産はそれとは区別して贈与する――それは敏腕経営者としての「先見」だったのかもしれない。
創業オーナー社長の最大にして最後の課題は事業継承といわれる。一代にして「帝国」と呼ばれる芸能事務所を作り上げたジャニー社長は、その大仕事においても手腕を発揮していた。
※週刊ポスト2019年7月12日号