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◆外見だけに惑わされないように…

 お気に入りの海外文学についても触れられている。その1つがカフカの名作『変身』だ。ある日、大きな「毒虫」に変身した男の人生を描いた作品で、最初は心配していた家族も次第に男を邪険に扱う様子が描かれる。愛菜ちゃんは、「形や外見が変わったら、それまでのように大切に思えなくなるのだろうか」とショックを受けたそう。

《この物語は、「人を形で判断していませんか? ちゃんと相手の中身まで見ていますか?」という警鐘のように思えます》と綴り、外見だけに惑わされず正しい判断ができるようになりたいという教訓を得たという。

 一度読み始めたら止まらない本の一冊として挙げているのが『ツナグ』(著/辻村深月)だ。登場人物が、使者「ツナグ」を通じて死んだ人と一夜だけ再会し、生前に伝えられなかった思いを伝えるというストーリーで、5つの短編から構成される。

 なかでも愛菜ちゃんが感情移入したというのが、亡くなった親友と再会した女子高生の物語。女子高生と親友双方の気持ちを考えてとても切なくなり《時間は巻き戻せないからこそ、後悔しないために、毎日、前向きな気持ちを失わないでいたい》と感じたのだそうだ。

 この本をきっかけに、辻村作品にハマったそうで、著書では辻村さんとの対談も収められている。

 ほかにも、不朽の名作からちょっとマニアックなものまでが幅広く取り上げられ、愛菜ちゃん流の読書術も紹介される。彼女と同年代の子供たちはもちろん、大人にとっても本の新たな魅力を教えてくれる一冊が見つかりそうだ。

撮影/浅野剛

※女性セブン2019年8月1日号

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