ボタンは大きめ、ボタンホールは斜めに配置

「まず多くの高齢者が、手先の力が弱くなります。小さくてツルツルしたボタンをボタンホールにくぐらせるのが難しくなるので、ボタンを大きめにし、凸凹のある素材やデザインのものを使います。ボタンホールを斜めに開けることで、さらにスムーズに留められます。

 ファスナーの持ち手にはオリジナルの球状のものを採用。つまむ力が弱くても楽に開閉できます。

 白内障や認知症などでは色の区別がつきにくくなるので、生地とボタン、ボタンホールの刺しゅう糸は色を変え、コントラストをしっかり出す工夫をしています」

 背中が丸くなる体形変化には、ブラウスなどの肩の後ろ部分にギャザーやタックを使ってゆったりさせ、後身頃がずり上がって短くならないよう、初めから長めにデザインされている。そのため、背中が丸くなっていてもすっきり見えるのだ。

 また腕を上げたり回したりするのが難しくなり、かぶって着るのがつらくなるという。そのため、トップスの多くはオリジナルファスナーを使った前開きの全開。外から見えないフロント比翼仕立てで、閉めるとプルオーバーのように見えるのもおしゃれだ。

「パンツにもファスナーを使って、ひざまで開く“ひざが不自由なかた”向け、両サイドのファスナーで全開になる“車いす利用のかた”向けなど、幅広く対応しています」

 そして注目なのが認知機能低下をカバーするチュニック。認知症の人の切実な思いをくんだアイディアが秀逸だ。

「コンセプトは“否定しない”“余白を残す”“おしゃれ”の3つ。認知症の人は空間認知が衰え、服の前後をよく間違えるので、どちらを前に着てもおかしくない、まさに否定しないデザインに。また、袖ゴムを取り外し自在にして、デザインの余白を残しました。

 もう1つの“おしゃれ”は、共布で作ったエプロン。認知症に限らず高齢になると増える食べこぼしをカバーしますが、肩部分のホックで留めると一見して汚れ防止のエプロンとは気づかれず、とてもスマート。レストランなどで食事をする時も、心置きなく楽しめます」

※女性セブン2019年8月8日号

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