健康にまつわる学問の中には「時間栄養学」という分野がある。健康を気遣い「体に良い食材を取り入れている」という人は多いだろうが、その努力を最大化するには「時間」にも注意する必要がある。
例えば、味噌汁や漬け物といえば代表的な日本人の朝食メニューだが、健康検定協会管理栄養士の望月理恵子氏によれば、「血圧が高めで塩分の摂りすぎが気になる人は、午後6時以降に食べたほうが良い」という。
「腎臓の塩分を排泄する働きは、午後6時すぎから活発になります。朝に味噌汁や干物、漬け物を食べると、塩分を体内にため込んで血圧が上がりやすくなってしまう。そのため、塩分の多い食事は朝よりも夕食に摂るほうが望ましい」(同前)
帰宅後は、夕食と入浴の順番も大切になるという。
「晩ご飯の前にお風呂に入るほうが良いでしょう。晩ご飯を消化するためには胃腸の血液の働きが重要ですが、晩ご飯を食べたすぐ後に入浴すると、胃腸の血液が全身で循環し、消化を妨げかねない。先に晩ご飯を食べる場合は、食後30分~1時間は時間をあけたほうが良いでしょう」(同前)
「時間栄養学」の第一人者で、早稲田大学先進理工学部の柴田重信教授が付け加える。
「夕食が遅くなる時は、午後4~5時頃におにぎりなどの主食を食べ、帰宅後の遅い時間にはおかず・副菜だけを食べるなど“分食”を心がけたい。肥満や生活習慣病を予防し、体内時計のリズム維持につながります」
就寝前には「牛乳を温めて飲むと良い」という。
「牛乳に含まれるカルシウムは夜間に効率よく吸収されます。骨粗しょう症の予防にもつながります」(前出・望月氏)
※週刊ポスト2019年8月9日号