スポーツ

甲子園「エースと心中」はありえない 名将たちの継投論

◆年々減少する「先発完投割合」

 投手の肩やヒジを守るためにどうすればいいのか。近い将来、「投球数制限」や「イニング数制限」が導入される可能性もあり得る。こうなると、エースひとりだけでは戦うことができなくなる。そこで、絶対的に必要になってくるのが複数投手による継投策である。

 現代の高校野球は、“継投巧者”でなければトーナメントを勝ち抜くのが難しい。もし、投球数制限が導入されたとしても、継投を重視するチームであれば、スムーズに対応できるはずだ。

 近年の夏の甲子園を振り返ってみても、エースひとりが投げ抜いて頂点を極めた例は、1994年の佐賀商・峯謙介が最後になる。

「夏の甲子園における先発投手の完投割合」を調べてみると、時代を経て、割合が減ってきていることがわかる。

・1978年夏=77.1%(93.6%)
・1988年夏=71.9%(91.5%)
・1998年夏=49.1%(79.9%)
・2008年夏=37.0%(74.3%)
・2018年夏=42.7%(74.5%)

 カッコ内は大会全体での「先発投手のイニング割合」で、こちらも割合が下がっているのがわかるだろう。1978年、1988年は全イニングの9割以上を、先発投手が担っていたことになる。

 こうした流れを踏まえて、筆者は今年6月に『高校野球継投論─継投を制するものが甲子園を制す―』(竹書房)を出版した。

 継投で結果を残してきた6校7人の指導者に加えて、トミー・ジョン手術の権威でもある古島弘三先生(慶友整形外科病院)、データ分析のプロでありセイバーメトリクスに詳しい岡田友輔氏(株式会社DELTA)、甲子園常連校の健大高崎や花咲徳栄のトレーニングを担当する塚原謙太郎トレーナーにも取材をお願いし、さまざまな角度から継投を成功するための策を聞いた。

 本書に登場した監督の中では、山梨学院・吉田洸二監督、仙台育英・須江航監督、近江・多賀章仁監督、東海大相模・門馬敬治監督が各地方大会を勝ち抜き、今年の甲子園の切符をつかみとった。

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