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早大鉄研の夏休み 千葉県のJR「木造駅舎」全36駅を制覇

 いすみ鉄道との乗換駅である大原駅には明治32年開業時の駅舎が残るが、何度も増改築されており、それほど古さは感じさせない。昭和2(1927)年開業の御宿駅の駅舎は、後述の「内房型」デザインだが、平成21(2009)年にリニューアルされている。

 上総興津駅も御宿駅と同時に開業しているが、こちらの駅舎は「内房型」ではない。三角屋根の車寄せは内房線の江見駅などにも見られるが、寸法が違うのでこちらも兄弟駅と言えるほど似てはいない。

 三角形のファサードが特徴の安房小湊駅は昭和9(1934)年開業時に建てられたもので、平成21年にリニューアルされている。内部はリニューアルによって間取りが大きく変化しているものの、外装は比較的原型を留めている。外房線と内房線の接続駅である安房鴨川駅の駅舎も大正14(1925)年に建てられた古いものだが、リニューアルによってもはや原型を留めていない。

◆「内房型」の木造駅舎──内房線

 房総半島の東京湾側を走る内房線は、木造駅舎の宝庫とも言うべき路線で、巌根、青堀、大貫、佐貫町、上総湊、浜金谷、保田、安房勝山、那古船形、江見、太海に木造駅舎が残っている。

「内房型」の典型・浜金谷駅をホーム側から望む(筆者撮影)

 このうち青堀、大貫、上総湊、浜金谷、保田、安房勝山の駅舎は「内房型」とでも言うべき共通設計の駅で、些細な違いはあるものの寄棟屋根に簡易な庇というスタイルは共通している。いずれも大正4(1915)年から大正13(1924)年にかけて建てられたもので、いくら後から増改築されているとは言え、同時期に建てられた駅舎がこれだけまとまって残っているのは珍しい。これらの駅舎はホーム側のデザインや島式ホームに跨線橋という駅の構造も共通している(※ただし安房勝山のみ跨線橋が廃止されている)が、やはりそれぞれ細かい差異があるので、一駅一駅じっくりと見て、違いを探すのも楽しいだろう。

「内房型」以外の駅舎も見ていこう。周辺駅より遅れて昭和16(1941)年に開業した、巌根駅の駅舎は、正面部分の屋根が前にせり出して車寄せと一体となったスタイルである。このスタイルの駅舎は主に昭和10年代後半から20年代にかけて建てられた駅舎に多く見られるもので、建て替えが進んだ今となっては全国的に見ても貴重な存在である。

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