そんな折、たまたま現在インストラクターを務める「ダイヤモンド囲碁サロン」の女性オーナーから誘われ、学生アルバイトをすることに。そこで一度は嫌いになった碁も、教える側に回ると、その楽しさややりがいに目覚めたという。
現在、長井さんは囲碁インストラクターの仕事とともに、人事コンサルタントという肩書きも持っている。慶應大学卒業後は「囲碁以外の武器も持っておかないと」(長井さん)と、大手印刷会社を皮切りに、人材系の営業職、IT企業の人事職と転職をしながら人事採用支援のノウハウを学んだ。
「印刷会社から内定をもらったときは、囲碁サロンのお客さまたちから“ドンペリ”で盛大にお祝いしてもらいました。
入社後は、同じクライアントを回る営業スタイルだったので、もっと厳しい飛び込み営業など経験して短期間で実力をつけたいと思い、当時“超ノルマの厳しい企業”との噂もあった人材系のベンチャー企業に自ら転職しました。噂どおりノルマは厳しかったですが、やればやっただけ自分の成長も実感できたので、いい経験でした。その会社を辞めるころには営業成績でMVPを何度も獲得しましたね(笑い)」
社会人生活で蓄積された長井さんの営業力や人を見る才能も、自然と囲碁インストラクターの道で活かされているようだ。
「碁は勝負ごとなので、相手が悪い手を打つと、ついインストラクターも熱くなってしまいがちですが、多葉紗は相手の気持ちになって優しく教えることができます。相手を型にはめず、その人の個性を見極めて上手に引き出してあげることができるんです。だから、これだけ人気があるのだと思います」(ダイヤモンド囲碁サロンの女性オーナー)