国際情報

中国で「産み分け詐欺」が蔓延か 妊活夫婦を標的に

妊活で苦労する夫婦が狙われた

 情報化社会の一方で詐欺まがいの行為がはびこるのは万国共通なのだろうか。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 違法広告といえば、日本の都市にもあふれている。その中身は不動産から風俗産業、あやしい食品まで多種多様。形態も電柱や電話ボックス、壁に貼り付けるモノからマンションのメールボックスに放り込むタイプまで、実にさまざまだ。

 この夏、中国で話題になった違法広告は、そんな汎用性のあるものではなかった。ピンポイントを狙った特殊な広告だった。

 その殺し文句は、なんと「16万元で必ず男の子を!」。16万元といえば、元が下落した現在のレートでも、およそ240万円。手軽な消費ではない上に事件性も高い。

 広告が出され問題となった現場は、海南省海口市の海南医学院第一付属医院。もちろん、広告と病院は無関係であるが、この病院は衛生部が正式に生殖補助医療技術を認めた第一号として知られているため、妊活で苦労する夫婦が集まることで有名だった。

 違法広告は、そうした夫婦をターゲットにして「若い優秀な大学生が精子を提供」、「代理出産」、「試験管ベイビーで男の子」といった煽り文句で誘っていたという。

 国内で多くのメディアが報じたが、なかでも詳しく報じたのが『工人日報』で、実際に客を装い業者とも接触している。

 その内容によれば、広告にある番号に電話をすると、出た男は「(試験管での産み分けの)値段は、一世代前の技術なら11万元(約165万円)で、最新式なら16万元」だといい、「広東省広州駅でこの電話に再度電話かければ、誰かが迎えに来る」という、なんとも怪しいシステムだった。

 いずれにしても中国社会では相変わらず男の子に対するニーズが強いのだが、その理由は、「一人っ子政策が緩和されても、経済的な理由から2人目を諦める夫婦が多く、一人ならば男とのニーズがあるから」だという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト