それゆえ、「不買運動に同調しない者が非国民」とされるのは、社会的圧力に他ならない。同調とは、個人の判断が集団や他者の規範や判断に影響されることを言い、この時に生じる社会的圧力を「斉一性の圧力」という。斉一性とは一様に同じであること。家族や職場、仲間や地域など属する集団が積極的に不買運動をしていたら、正面から反対するより同調する傾向を強めるだろう。反対すれば無視され仲間外れにされ、下手をすれば制裁を受けるかもしれないと思えば、自分の意見はどうであれ同調してしまうのも仕方ない。
一方、そんな中でも人知れず日本へ行ったり、日本製品を買う人々がおり、この人たちのことを“シャイジャパン”と呼ぶらしい。こういう表現が生まれること自体、韓国には斉一性の圧力があるということだろう。
過熱する不買運動は韓国経済をブーメランのように直撃。韓国の大手航空会社やLCCでは、稼ぎ頭の日本路線が次々と運休。日本製品を売っている店も、日本食を出している店も経営者は韓国人、従業員も韓国人。サッカーのオウンゴールみたいに、「セルフ経済制裁」が起きているとまで言われる始末だ。
悪化する日韓関係を前にして、野党は「反日を煽りすぎ」と文政権を批判し、「NO JAPAN」に代わって「NO安倍」のプラカードを掲げる人が増えているらしい。強行な構えを崩せない人々の中にも、やり過ぎ・行き過ぎを感じ、反日感情の矛先を変え始める人たちもいるようだ。
文大統領が発言をトーンダウンさせたくらいでは、過熱した反日感情は収まりそうにない。「NO安倍」みたいに、矛先を“ちょっとだけ”変えるのだろうか。