他にも美術館が夏休みの自由研究用の特別講座を開くケースなどがある。観覧料さえ払えば、見学からレポート指導まで受けられ、1日で自由研究が完成させられる。
様々なかたちで“外注”ができるようになり、昔より格段に「質の高い自由研究」ができる時代になったことは間違いないだろう。ただ教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は「本当に大事なことを忘れてほしくない」と話す。
「優れた自由研究をすることが目的になってしまったら、自由研究の“本来の目的”が失われると思います。夏休み中に、気づいたこと、気になったことを自分で調べてみる、ということが本質のはずです。
学校側も本来は、『わかったことをまとめて提出してくれたら嬉しいな』くらいにしておくほうがいいのです。『提出期限』と言われた瞬間に主体性はなくなります。
やりたい人が勝手にやって、その成果を見た他の生徒たちが、内心『あいつ、すげー』と思って、『来年は自分も何かやってみよう』と自発的にやる気になるのが理想的。ただ、親も先生もそれを待てないというのが現状ではないでしょうか」(おおた氏)
※週刊ポスト2019年8月30日号