ライフ

江戸時代の医学書にある健康のヒント、夕食の量や酒量は?

江戸時代のアルコール度数は現代の約半分だった

江戸時代のアルコール度数は現代の約半分くらいだった(写真/AFLO)

 安定した徳川幕府のもとで、長く続いた江戸時代は、意外と長寿の時代だったという。看護師として40年以上の臨床経験を持ちながら、「医療の歴史」を研究してきた中村節子さんが語る。

「戦争もなく、安定して長く続いた江戸時代は“健康長寿”を求める風潮があったうえ、出版文化が花開いたことで、健康や医療に関する本が多数執筆され、医学が大きく進歩した時代でした」

 特に江戸時代中期に活躍した伝説的名医である香月牛山(1656-1740)が書いた『老人必用養草』には、現代にも通用する健康で長生きするためのヒントが多く詰まっている。みずからも85才という長寿を全うした牛山の知恵を、最新の医学と科学的エビデンスに基づいて現代に蘇らせる――。

 健康といえば気になるのが食事。同書でも「飲食の説」として多くの紙幅を割いている。《それ人の生をとぐるものは飲食なり》という書き出しで始まり、食に関する注意点が具体的に書かれる。

◆夕食は朝食の3分の2

 特に3食の配分についての記載は興味深い。牛山はこう記す。(以下、《》内は『老人必用養草(やしないぐさ)』からの抜粋)

《夕飯は朝飯よりも消化しがたきものなれば、朝食の三分の二にてよろしかるべし》

 すなわち、夕食は消化しにくいので朝食の3分の2の分量でよい。さらに、昼は食べなくてもいいという。また、毎日1食はできれば粥が望ましく、温度は熱すぎず冷たくないものがいいと説く。

 これは現代医学に照らし合わせるとどうなるか。秋葉原駅クリニックの医師である佐々木欧さんが解説する。

「たしかにエネルギーを使うのは日中。食後、起きて活動する時間が長い朝に食事を多めにとって、夜に向けて食事量が少なくなっていくのが理想的です。また、年を重ねると胃腸の消化機能が衰えますから負担になる食べ物はとりすぎない方がいい。書物に書かれているように、体温に近いものが消化しやすく、冷たいものや熱すぎるものは負担となります。お粥は消化しやすいので、胃もたれや便秘の際などによいでしょう」(佐々木さん・以下同)

◆麺と肉は食べてはいけない?

関連キーワード

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン