◆笑いのツボは一緒だが、一切家事をしない彼女
28歳の時、健人さんは同い年の元カノと合コンで出会った。「すごくタイプというわけではないけれど、美人だった」と振り返る元カノには、健人さんから付き合ってほしいと告白した。当時、派遣で働いていた彼女は一人暮らしをしていたものの経済的に余裕のない生活を送っており、ほどなく、健人さんの部屋に転がり込んできた。
「僕もそんなにお金がなかったから、1DKで同棲を始めました。ただ、当時は仕事がすごく忙しくて、夜遅かったので、同棲しているといっても平日はそんなに顔を合わせなかったんです」
二人に、趣味や仕事の共通点はほとんどなかったという。スポーツやアウトドアが好きな健人さんに対し、元カノは「日焼けをしたくない」と、あまり外に出たがらない。旅行や飲みに行くのは好きだが、普段は家でゲームをしたり漫画を読んでいるのが好きなインドア派だった。
それなのに付き合いが8年も続いたのには、理由があるはずだ。健人さんは、「意外とラクだった」と説明する。
「美人で、一見、とっつきにくい感じの子だったので、一緒に住むと疲れるかなと思ったんですが、案外、そうでもなくて。食べ物の好みも合ったし、好きなテレビ番組や芸人が一緒で、笑いのツボが一緒だったり。ムカつく芸能人が一緒だったり。そういう心地よさがありました。あと、僕の趣味に口を出さないので、それもラクだった。男女というより、むしろ人間同士として、相性がよかったのかもしれません」
元カノは、健人さんが夜遅くまで飲んで帰って来ても、休日、友達とキャンプに泊まりで出かけても、愚痴を言うことはなかった。一方で、健人さんが困ったこともあった。
「何もしてくれないんですよ。家のことを」
家のこと──掃除や洗濯、料理などは、一切しなかったという。