国際情報

香港空港で殴られた中国紙記者は安全部工作員の疑惑浮上

香港の混乱はいつまで続く?

 逃亡犯引き渡し条例の改正案に反対する激しい抗議デモやデモ隊と警官隊との衝突など香港で混乱が続いている。

 中国共産党機関紙『人民日報』傘下の国際情報紙『環球時報』記者が取材中、香港国際空港でデモ隊に襲われて手を縛られ殴打される事件が起きたが、この記者は実は、中国の情報機関である中国国家安全省の工作員であるとの疑いが急浮上している。米政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が報じた。

 この人物は『環球時報』の付国豪氏。付氏は8月13日、デモ隊多数が占拠していた空港ロビーで、デモ隊の動きをずっと注視しているなど不審な動きを怪しまれ「デモ参加者を装った警察官」と騒がれたことから、激しく抵抗。中国のパスポートを提示して、「私は記者だ」と叫んだことから、デモ隊に殴打された後、病院に運ばれた。

 中国系香港紙や中国メディアは翌日、身の危険があるにも関わらず果敢に取材現場に飛び込み、取材をしていた付氏を「英雄」と称えると同時に、デモ参加者の暴力行為を激しく批判する報道を行った。

 これに対して、VOAは『環球時報』の胡錫進・編集長に取材を行い、付氏が取材目的で香港に入ったにもかかわらず取材ビザはなく観光ビザで香港に入境し、さらに記者証も携帯していなかったと報道した。また、北京の米情報筋はVOAに「この記者は国家安全省の工作員だ」と語ったと伝えた。その根拠として、同情報筋は付氏の身分証に記載されていた北京市海淀区万寿路の住所が国家安全省の職員寮の所在地であることを挙げた。

 また、付氏は2つの違う名前の銀行口座を所有していることや、『環球時報』のほか、北京市にあるコンサルティング会社「世華万向資訊公司」にも勤めていることになっていることも明らかになった。同社は海外に進出する中国語メディアに対して情報提供を行っている。

 同情報筋はVOAに対して、「一般人が名前を2つ持つことはまず不可能だ」と語っているが、工作員はそれぞれの名前に合わせて、パスポートや身分証も使い分けているという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン