作業の開始と、お昼休み前、最後の終了時には、4階の詰所にハンディー端末を返却しなければならない。また、休憩の前と後にもIDをスキャンして、休憩時間の記録を残す必要もある。その4階の詰所は、物流センターのほぼ中心部分にあって、そこから、四隅のうちの1か所にある階段まで移動して2階の食堂に降りていく。片道5分は十分にかかる。それほど、このセンターは大きいのである。
本来45分あるお昼の休憩時間が、実質35分になる。これではゆっくりお昼ご飯を食べることができない、というのが、先の女性の主張だ。これは彼女だけの不満ではなく、その後に出会った、小田原のセンターで働く多くのアルバイトから、異口同音に憤りをもって語られた。
私はその日、4階のピッキングからスタートした。
私が何度目かのトート(折り畳み式のカゴ)をベルトコンベヤーに流した後、10時半過ぎに、車椅子に乗った女性のアルバイトが、救急隊員に車椅子を押され、出口へと向かっている光景に出くわした。女性は40代ぐらいにみえた。作業中にケガをしたのだろうか、それともめまいや頭痛が起こったのだろうか。見ているだけでは、もちろんわからない。加えて、後日の朝礼でも一切説明がなかった。
その後、5階のピッキングとなって、はじめて書籍とCDの置かれた一角に身を置いた。ほかの商品と比べると、書き手である私にとっては書籍をピッキングする方が楽しい。どんな商品も取り扱う“エブリシング・ストア”となった現在のアマゾンの商品のうち、書籍や雑誌の占める割合は、目測で約1割といったところか。
この日、ピッキングした商品は以下のようになる。
『依頼人』/『猫医者に訊け!』/『賢者の書』/『綺麗なハダカ 今宮いずみ』(DVD)/『あなたも落語家になれる』──など。
◆1日23キロ歩く