この日のお昼休憩は、正午から12時45分まで。2階の食堂は、窓が広く取られ、軽く500人は座れそうなスペースがある。私はこの日、350円のヒレカツ定食と100円のサラダを注文した。安いなぁ。食堂での安価な定食は、アマゾンのアルバイトに与えられた数少ない福利厚生である。
昼食後、4階に戻って午後のピッキングをはじめ、3時15分から15分休憩となる。ずっしりと重たくなった足を屈伸しながら、休憩室に入ると、髪を金髪に染めた30代の体格のいい男性が先にいた。窓から雨で重たくなった雲を見ながら、
「雨がやみそうにありませんね」と私から声をかけると、「なかなかやみそうにないですね。ぼくは自転車で通っているので、雨の日は難儀するんです」という予想外に長い返事があった。これは脈ありか、と思って世間話をつづけた。話を聞かせてくれる人に出くわすと嬉しくなる。
彼が両親と一緒に住んでいる自宅はセンターから自転車で20分ほどのところにあり、雨の日は合羽を着て自転車に乗る。働きはじめたのは、小田原センターの立ち上げと同時とのことなので、4年間働いていることになる。
オレンジ色に黄色の縦縞が入ったビブスを着ているので、どんな意味だろうと思って訊くと、片手で引けるハンディー・パレットにトートなどを積んで必要な場所に運んだりするフィールド・コントロールという役目だから着ているのだ、という。4年間働いて時給は950円からこの10月に970円に上がったばかりだという。
休憩後もピッキングをつづける。最後に入ってきたのは箱入り飲料水のピッキング作業。箱に入ったミネラルウォーターやペットボトルのお茶、缶ビールなど。1回ごとのピッキングでトートが一杯になり、そのたびにベルトコンベヤーまで流しに行く。合計で10回は飲料水の棚とベルトコンベヤーを往復しただろうか。飲料水の重さと作業効率の悪さが、疲れを倍増させた。