三島由紀夫はバーで創作のヒントを得た(写真/時事通信フォト)

 でも乱歩先生、本当に元気でね。お店に来ると豪快にお酒を飲みながら、ちょっと「助平」な話したり私たちのお尻をふざけて触ったりして、“まだまだ現役なのね”って思ったわよ。

〈日本最初のゲイバー・新橋「やなぎ」のママにスカウトされた吉野ママは「やなぎ」で修業を積んだ後独立し、1960年頃に数寄屋橋に「ボンヌール」を開店する。その後、「吉野」に店を移してからも、名だたる文豪の来店は続いた〉

 吉行淳之介先生もよく来てくれたわ。ある日、常連だった中村メイコさんが連れてきてくれたのよ。先生の話は小難しい内容ばっかりで、私あんまり理解できなかったの(笑い)。でも、女の人って、ああいう知的な人が好きなんでしょう。とにかくモテたわ。

〈もう一人、吉野ママが親交を深めた作家がいた。水上勉だ。奇しくも水上は、三島と同じく金閣寺放火事件(1950年)を題材に小説を書いた一人。水上は『金閣炎上』で、三島の描いた「美の極致たる金閣寺への崇拝と反感」という観念的な放火説を真っ向から否定し、堕落した住職や仏教界への怒りと失望ゆえの放火だったとして物語を紡いだ。同じ題材を相反する視点で執筆した2人の作家が、吉野ママの元で交差していたのだ〉

 水上先生は、銀座の女の子が連れてきてくれて。水上先生は優しかった。極貧で小さい頃に寺に預けられたり、ずっと苦労してきたでしょう。だからかしら、決して偉そうにしないの。いつだったか、小説で「吉野」を取り上げてくれたこともあったわ。「サービスがとてもいい」って書いてくださった。

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