〈主義主張も職業も、まるで異なる人々が集った吉野ママの店。その「人間交差点」のど真ん中で、吉野ママはいくつもの出会いと別れを経験し、ドラマを目撃した〉
いま思うと、店の中には本当の意味での「平等」があったのね。スターも大作家も、男も女も関係ない。お金を払ってくれた人は、みんな同じお客さん。私がそんな姿勢でやってたから、人が集まってくれたのかしらね。その記録をこうして残すことができて、もう何も望むことはない。
天国に行ったら、またバーでも開こうかしらね。常連さんたちと一杯やってるから、よろしくね。
取材・文/宇都宮直子
※週刊ポスト2019年9月13日号