手術が唯一の治療法だという白内障

 白内障の手術は、大まかにこんな手順だ。局所麻酔をして、黒目(角膜)と白目(結膜・強角膜)の間に穴を開けて器具を挿入し、超音波で水晶体を砕きながら吸引。その後に人工の眼内レンズを入れる。手術は15分ほどで、日帰り手術も可能だという。

「手術後の感染症などをきちんと管理できれば、手術自体は比較的リスクの少ない安全なもの。術後のトラブルが起こる可能性も1%以下。実際に100才を超えた人も受けて成功しています。

 怖がる人も多いのですが、麻酔をしているので痛みはなく、メスなどの器具は目の横から入るのでほとんど見えません。やってみると“もっと早くやればよかった”と言う人が圧倒的です」

 平松さんの解説を聞くと、自分なら思い切ってやってみようかという気になる。でも老親にすすめるかというと、躊躇するのが正直なところだ。

「子供さんの不安はよくわかります。“命にかかわるわけではない。目が見えにくい程度で”と思われるのでしょう。でも親御さんにとって何が大切なのか。テレビを見たり、本を読んだり、旅行で美しい景色を見たり。高齢者の楽しみのほとんどに目がかかわっています。手術はもちろん一大事ですが、治療しなければ、大切な人生の時間を“見えないまま”過ごすことにもなる。そんな視点でご本人と話し合ってみてください」

 白内障手術は健康保険が適用になる。基本的な手術は12万円~(片目)×自己負担割合。最近、登場した遠近両用の多焦点眼内レンズは保険外で30万~80万円(片目)だが、医療保険の先進医療特約が適用になることが多い。

 高齢者の多くが発症するにもかかわらず、本人も気づかないうちに進行する白内障。定期的なチェックが必要だ。

「高齢になったら年に1回は眼科検診をおすすめします。特に重要なのは眼底検査。白内障をはじめ、視野が欠けて失明に至ることもある緑内障、網膜の中心が障害されて視力が低下する黄斑変性症などの有無も確認できます」

 白内障は40代から徐々に増加。老親だけでなく、働き盛りの子供世代が一緒に検診を受けるのもいいかもしれない。

イラスト/なかやまゆうこ

※女性セブン2019年9月19日号

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