ビジネス

踏切事故で高まる立体交差化の要望 実現までの道のりは

路面電車を走らせていた阪神電鉄は地上区間が多い

路面電車を走らせていた阪神電鉄は地上区間が多い

 鉄道の踏切事故が発生するたびに、なぜ線路を高架や地下、立体交差にして踏切を廃止できないのかという声があがる。事故が発生しやすい踏切を廃止したいのはやまやまだが、それは長い年月をかけ、根気強くなければ完成できない案件だ。『踏切天国』著者のライター、小川裕夫氏が、地域の地場産業保存のために阪神電鉄西宮駅一帯の踏切廃止が着工から完了まで21年かけた踏切廃止までの事例についてレポートする。

 * * *
 9月5日、京浜急行電鉄(京急)本線の神奈川新町駅に隣接する踏切で、トラックと電車が衝突する事故が発生した。同事故によって京急は運休を余儀なくされたが、2日後には復旧。

 今回の事故で、京急のみならず鉄道各社で踏切廃止・立体交差化の動きが加速することは間違いない。なぜなら、鉄道事故の約9割が踏切および踏切付近で発生しているからだ。

 鉄道事業者にとって、踏切は厄介な存在といえる。踏切を廃止すれば事故は減り、定時運行をしやすくなる。地元自治体にとっても、危険な踏切の除去は市民の安心・安全な暮らしにつながる。双方にとって有益だから、立体交差化が推進されるのは自然な流れだ。

 一口に立体交差化といっても、【1】線路を高架化する【2】線路を地下化する【3】線路の上に道路を通す【4】線路の下に道路を通す、のおおむね4パターンがある。

 この4パターンにはそれぞれに一長一短あり、鉄道会社・地元自治体・地元住民の3者間でメリット・デメリットが異なる。立体交差化は総論賛成・各論反対に陥りやすく、どれを選択するのか? これで3者の意見がまとまらずに延々と平行線をたどる。

 現在、連続立体交差事業が進められている京王線の笹塚駅―仙川駅間の連続立体交差事業でも、同様の問題が発生している。

 同区間の大半は、京王線を高架化することで踏切の除去を目指している。しかし、沿線住民からは、「高架化ではなく地下化」を要望する声も出ている。

 実際、小田急電鉄は代々木上原駅―向ケ丘遊園駅の複々線化工事と同時に同区間を高架化する連続立体交差事業に着手した。しかし、工事中に沿線住民から「高架化することによる騒音や振動、日照」などが問題視されて、訴訟に発展。小田急線の高架化訴訟は長期化し、それに伴って工期も長くなった。また、訴訟によって小田急は立体交差化の方針を高架線から地下線へと変更している。

関連記事

トピックス

自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
暑くなる前に行くバイクでツーリングは爽快なのだが(写真提供/イメージマート)
《猛暑の影響》旧車會が「ナイツー」するように 住民から出る不満「夜、寝てるとブンブン聞こえてくる」「エンジンかけっぱなしで眠れない」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日のなかベビーカーを押す海外生活》眞子さん、苦渋の決断の背景に“寂しい思いをしている”小室圭さん母・佳代さんの親心
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン