大橋さんはその日から、わずか約3か月後に帰らぬ人となったという。がん治療では心理面のケアも大きなパーセンテージを占めるはずだ。それなのに、と考えてしまう。前出の大津さんが、このやりとりを評して言う。

「双方の意見を聞いていないのではっきりしたことは言えませんが、それぞれの気持ちのすれ違いを感じるやりとりだと思いました。

 患者さんとの接し方は大事。大橋さんは、いきなり『どこで死にたいですか』と聞かれたことで大きなショックを受けたということですが、唐突だったのかもしれません。本来なら『どう過ごしていきたいですか』などと聞きながらともに考えてゆくのが大切。医師のコミュニケーションスキルが試される場面ですね」

 こういった“らしくない”在宅医が存在するのはなぜか。

「医療費削減のため、現在は国が在宅医療を推奨しており、携わる医師がしっかりした診療報酬を得られる制度になっています。つまり、今の医療機関が厳しい経営状況の中、在宅を行えば相対的には利益が出しやすいわけです。看取りのケアが得意でなく、患者さんとの接し方が充分とはいえない医師なども参入しているのが現実なのです」(大津さん)

 今後は、さらに在宅医が増えるとみられており、医師やスタッフの見極めがますます必要になってくるわけだ。

「がんの場合は、痛み止めを『持続注射』してくれるか、痛みが強くなった際に患者さんがボタンを押せば薬を注入できる鎮痛法を行ってくれるかどうかなど、どんな処置をしてくれるかは具体的に確認した方がいい。また、いよいよ最期が迫った時に鎮静を行えるのかは重要。

 緩和ケア病棟やホスピス、在宅緩和ケアで知られる医療機関での勤務歴がある医師かどうかもチェックした方がいいと思います」(大津さん)

※女性セブン2019年10月10日号

関連記事

トピックス

岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン