通勤列車「車両を選ぶなら」どこ?
過去に鉄道事故で多くの死者が出たケースとしては、1991年の信楽高原鉄道正面衝突事故(死者42人、負傷者614人)がある。JR西日本の車両と信楽高原鉄道の車両が衝突した事故で、714人が乗っていたJR車両側の死者は30人。衝突によって先頭車両が折れ曲がり、多数の犠牲者を出す痛ましい事故となった。
2005年のJR福知山線脱線事故(死者107人、負傷者562人)では脱線した1、2両目に死者が集中。混雑した車内で乗客同士が折り重なるように倒れ、圧死者が多く出た。
先頭や最後部の車両に乗客が集中する傾向があるが、川島氏はこう指摘する。
「安全面を考えれば、衝突や追突の影響を受けにくいのは、編成の中央部分になります。10両編成であれば、4~7両目あたりが良いでしょう」
ただし編成の中央であっても、乗車位置や座席の場所によって事故発生時のリスクは異なってくる。
2000年に発生した営団地下鉄日比谷線中目黒駅構内列車脱線衝突事故(死者5人、負傷者63人)は、下り列車の最後尾車両が脱線、隣の線路上にはみ出し、対向する上り列車と側面衝突したものだった。この事故で、被害が大きかったのが各車両の「端」だ。死者5人のうち2人が、連結部に近い端の席に座っていた。
「電車の連結部がある車両の端はオーバーハングと呼ばれ、一番振動があり構造的にも疲労を起こしやすい」(川島氏)