「『超共感法』を使えば、怒鳴っていた相手が笑顔になるだけでなく、自分の味方になってくれます」と山下さんは言う。しかし、もともと人の顔色をうかがうことが得意な人は、少し注意が必要だ。
「相手の気持ちを代弁しようとするあまり、本心から相手に共感してしまうと、相手の怒りや焦りに影響されて冷静な判断ができなくなったり、相手から『この人は私の話を聞いてくれる』と認識されて、愚痴のようなクレームを延々と聞き続けるはめになったりと、自分が追い込まれてしまいます。相手の話を聞いて味方になるのではなく、相手が話を聞いてくれるようになるまでクールダウンさせて、自分の味方にしてください」
そのためには、「私にはあなたの怒りがよくわかります」と、自分ひとりで相手に“共感”するのではなく、「今、あなたが怒るのは当然のことですね」と、相手の気持ちを一般化し、“誰もが共感できる”として代弁する。
「超共感法では、本心から相手に寄り添う必要はありません。子供の成績が悪いことを怒鳴る義母を『うるさいな』と思っていてもいい。
大きな声で『そんなに子供のことを思ってくださるんですね!』と驚くだけで、義母は少し心を開きます。3回『そうよ!』と言わせた後で、仕事が忙しいことや、子供は塾で勉強していることを説明すれば、『そうだったの。あなたも大変ね』と、味方になってくれます」
“クレーム”のたびに超共感法を繰り返せば、“うるさい姑”が本当は“孫思いのお義母さん”だったとわかる。「子供のことを思ってくれてありがとう」と、心から言えるようになるはずだ。
めんどうなクレーマー全員が悪質なわけではない。彼らの本当の気持ちを探り当て、嵐を追い風に変えてしまおう。
※女性セブン2019年10月10日号